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誕生日(16)

「セクハラって…何だよ、それ!? …前々から、檸檬が俺にされて嫌なことがあってさ。」 「うんうん。」 「3つあるんだ。」 「はぁ!?3つもか!?サイテー…」 「五月蝿い! 1つは今朝のそれ。火を使ってる時に背後からの突然のハグはダメ。」 「そりゃそうだろ。火傷でもしたらどうするんだよ。」 「…分かってるよ。 2つ目は、檸檬が先に布団に入ってあったまってる時に、後から来た俺が檸檬に絡みついて、俺の冷えた足を檸檬にくっ付けること。」 「冬にそれやられたら殺意を抱くぞ。」 「それも分かってる! 3つ目は…ところ構わずあちこちにキスマークを残すこと。」 「はあっ…そりゃそうだろ! 満…俺、見て見ぬフリしてたけどさぁ…時々檸檬君の襟元から見えるんだよ、そのキスマーク!」 「あぁ!?見るなよ!檸檬が減るじゃないか!」 「アホか!減るかそんなもん! 俺だからいいけど、他の第三者が見つけたら何言われるか、たまったもんじゃねーぞ! 面と向かってお前に言わなくても、その矛先は檸檬君に向くぞ!」 ぐっ。俊樹の言う通りだ。 社長である俺には、直接誰も何も言わないだろう。 でも、ただでさえ同性婚を良く思わない輩が、俺の伴侶である檸檬には、誹謗中傷の嫌な態度を取るに違いない。 俺が黙っていると、俊樹は 「さっきの止めてほしい3つのこと、檸檬君が嫌がるのは無理もない。 俺でも嫌だ。」 「え…マジか…」 「だけど、満はをしたいんだろ? じゃあやり方を変えればいい。」 「どうすればいいんだ!?俊樹、教えろ!」 「1つ目は、危なくなけりゃいいんだろ? 食器洗ってる時とか、後はひと声掛けて“ハグするぞ”アピールしてからにするとか。」 「なるほど。」 「2つ目は、足が冷える前に布団に潜り込むしかないな。 それか、あったまるまで布団の中で少し距離を置くしかない。」 俺の答えに満が唸り声を上げる。

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