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誕生日(24)

自分の有休と照らし合わせたのだろう、檸檬はしゅん、と俯いた。 「…今度のお休みにゆっくり行きましょうね…」 「いや、明日行くよ。」 「??だって俺の休みは明日までで…」 「優秀な秘書殿がな、俺達2人の休みをもう1日延長してくれたんだよ。 だから明日行く。」 「嘘…」 「嘘じゃない。配慮に感謝して甘えよう。 その代わりに、俊樹に恋人ができた時には俺達が協力してやろうな。」 「…はいっ!満さんとお泊まり…ふふっ、思いがけないご褒美ですね。 満さんへのプレゼントじゃなくて、俺にとってのプレゼントみたい。」 「何と“離れ”だから、ゆっくりのんびりできるぞ。」 「えっ…そんな高級そうな所…いいんですか!?」 「他人(ひと)の懐具合は気にしなくていいんだよ。 俊樹が気持ち良く送り出してくれるんだから、俺達は存分に楽しんでこないと。 明日は昼前に出掛けるとするか。」 「はい!…凄く、凄く嬉しいです! 俺、片付けてきます!」 「俺も手伝う。一緒にやれば早く済むだろ?」 「満さんはゆっくり座ってて下さい。 すぐに終わりますから。」 「1分でも1秒でも早く、俺が檸檬とイチャつきたいんだ。 一緒に」 「ダメです!満さんは座ってて! …ね?いい子で待てるでしょう?」 檸檬はニッコリと微笑んで俺の頭を撫でてくる。 うーーむ、萌える。逆らえない。 俺は…“いい子”だからな! 「…分かった。待ってる。」 もう一度、いい子いい子と撫でられて、すっかり骨抜きになった俺は、片付けを始めた檸檬の後ろ姿を眺めていた。 ベッドに連れ込んで、アンナコトやコンナコトを……いや、あまりにヤり過ぎたら明日の旅館でのお楽しみがなくなっても困るのだが…… 暫くして俺の側にやって来た檸檬が呆れたように言った。 「満さん、顔が崩壊してます…」

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