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お楽しみはこれから(10)

「みっ、満さんっ!お触り禁止っ! お風呂では何もしないって言ったじゃん!」 「『お触り禁止』って…その言い方、かわいい♡」 「誤魔化さないでっ!」 ふぅふぅー、と毛を逆立てる子猫みたいな檸檬の頭をよしよしと撫でて、落ち着かせる。 「分かったから。何もしないよ。 ほら、だからこっち来て。」 用心しながらゆっくりと俺の方に来る檸檬をそっと背後から抱きしめる。 「愛してるよ。」 「…もう…ズルい…」 少しだけ、本当に少しだけイチャついて、風呂から上がった。 湯上がりの檸檬が何とも言えず色っぽい。 浴衣も、いいな。そうだ、檸檬が仕立ててくれたお揃いの浴衣があったのに。 裾がはだけるのを気にする素振りもそそる。 このまま押し倒しそうになるのを我慢して 「お前が仕立ててくれたあの浴衣を持ってくれば良かった。」 と言うと 「覚えてくれてたんですか!?」 と嬉しそうに微笑んだ。 「今年の夏はあれを着て、花火大会に行こうな。」 「はい!あ、でも……」 「何だ?」 「対になって色違いだし、他人に変に勘繰られたりしちゃう…」 「俺達は夫夫だ。何を誰に遠慮することがある? 俺は恥ずかしいことなんか全くないし、寧ろ見せびらかしたい。 『俺の愛する伴侶の檸檬が心を込めて仕立てた浴衣だ。 うらやましいだろ。』 ってな。」 「満さん…ふふっ。ありがとうございます。」 「だから、何があっても言われても、堂々としていろ。 おっ、食事の時間だ。準備はできてるはずだ。 隣の部屋だと言っていたな、行こうか。」 「はい!」 手を繋いで移動する。 多分、俺や俊樹のいない所で、余計なことを吹き込む輩がいるんだろう。 全く、俺の檸檬に何してくれるんだ。 そういった奴らの対応は、俊樹が目を光らせてるんだが、100%防げているかと問われると微妙だ。 俊樹だって四六時中檸檬にへばり付いている訳にもいかないし。

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