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お楽しみ、再び(5)

満さんの誕生日で、満さんのための、満さんの時間なのに、俺が感じてどーするんだ!? 耐えろ、檸檬! お前は金山満のヨメだろ!? 全身に力を込め歯を食い縛り、声を我慢する俺に、満さんの動きが止まった。 くっ……あれ? 「檸檬、そんなに力入れたら、痛い。」 「あっ、ゴメンナサイっ。」 「それに…何でそんなに我慢してんの? 嫌だった?」 「…嫌じゃ、ない…」 「じゃあ、どうして我慢してんの?」 ああっ、もうっ、入ったまんま喋らないで。 「…ふうっ…ゴメンナサイ、一回、出て?」 満さんは黙って俺の中から抜け出て行った。 「はぁっ……」 息の整った俺をくるりと対面させバスタブの縁に座らせると、満さんはしゃがんでじっと見つめてきた。 「ごめん、身体辛かったか?無理させてごめん。」 俺は吃驚して首をぶんぶん横に振った。 そんな悲しい顔しないで!違うから! 俺は満さんに抱きついて叫んだ。 「違うっ!違うよっ! …満さんのための時間なのに、俺だけ感じちゃって…その、申し訳なくって…俺、満さんのヨメだから、我慢、しなくちゃ、って… それに、満さんが、その…入ったまま喋ると、振動で俺、感じちゃって…その、だから、『出て』って、言っちゃって…その、むぐうっ」 力強く抱きしめられて唇を塞がれた。 超至近距離で見開いた目の焦点が合わずに焦った。 反射的にぎゅっと目を瞑ると、視界が遮断され、聴覚と触覚の感度が数倍上がる。 ヤバい。 満さんの舌が捩じ込まれて俺の口内で荒れ狂ってる。 散々息を切らせた挙句、やっと離れた満さんは俺の顎を掴んでひと言。 「檸檬…お前はバカか。」 「ふぇ…!?…」 「俺の愛撫で、俺の愛するお前が感じて、とろっとろに蕩けていくんだぞ!? こんなワクワクして嬉しくって楽しいことがあるか!? …これを見ろ。」 顎をくいっと下に向けられた。 「……っ!!!」 そこには、堂々と天を向く満さん自身が、ふるふると揺れていた。

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