244 / 371

お楽しみ、再び(9)

甲斐甲斐しく俺の世話を焼く満さんにされるがまま、俺は髪の毛から爪先まで丁寧に拭き上げられる。 その最中も、満さんは隙あらば、俺にキスを仕掛けてくる。 触れるだけの、甘ったるくて優しいキス。 最初は「ヤダ」「止めて」なんて逃げを打っていたけれど。 本当は構ってもらうのがうれしいのに、天邪鬼(あまのじゃく)な俺は、嫌がる素振りを繰り返していた。 「檸檬…好きだよ…」 あぁ、もう、満さんってば。もう拒否するフリなんか失せて、好きなようにさせてやった。 ちゅ、ちゅ、というリップ音が脱衣所に響く。 それを聞いてるだけで耳から愛撫を受けてる気になる。 あぁ、もう限界。 満さんがほしい。 俺のそんな気持ちが通じたのか、最後に大きな音で唇を吸い上げられて…そして、とうとう恭しく横抱きにされてベッドの上に連れ戻された。 壊れ物のようにそっと静かに横たえられた。 サラリとした感触に戸惑う。 あ、シーツも布団カバーも綺麗になってる。 まさか、仲居さんに替えてもらった!? うわっ、ナニしてたかモロバレじゃん!? 問い掛けるような視線を向けると 「俺が交換した。中々上手くできてるだろ?」 と、途端にドヤ顔になってる。 凄い。器用なんだ。 良かった。あんなドロドロシーツ、他人に見せたくはない。 こくこくと頷くと、満さんは嬉しそうに、にぱーっと笑ってる。 かわいい。 ナデナデしたい。 そぉーっと腕を伸ばして頭を撫でた。 「満さん、イイコイイコ。」 きゅ、と眉根を寄せた満さんが呟く。 「檸檬…反則技使うなよ…」 「反則技?」 「俺を煽るな。歯止めが効かなくなって襲っても知らないぞ。」 「うっ、それは困ります!もう無理ですっ!」 やっぱりな、と残念そうに口をへの字にした満さんがおかしくって、くすくす笑うと、じとりと睨まれた。

ともだちにシェアしよう!