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お楽しみ、再び(9)
甲斐甲斐しく俺の世話を焼く満さんにされるがまま、俺は髪の毛から爪先まで丁寧に拭き上げられる。
その最中も、満さんは隙あらば、俺にキスを仕掛けてくる。
触れるだけの、甘ったるくて優しいキス。
最初は「ヤダ」「止めて」なんて逃げを打っていたけれど。
本当は構ってもらうのがうれしいのに、天邪鬼 な俺は、嫌がる素振りを繰り返していた。
「檸檬…好きだよ…」
あぁ、もう、満さんってば。もう拒否するフリなんか失せて、好きなようにさせてやった。
ちゅ、ちゅ、というリップ音が脱衣所に響く。
それを聞いてるだけで耳から愛撫を受けてる気になる。
あぁ、もう限界。
満さんがほしい。
俺のそんな気持ちが通じたのか、最後に大きな音で唇を吸い上げられて…そして、とうとう恭しく横抱きにされてベッドの上に連れ戻された。
壊れ物のようにそっと静かに横たえられた。
サラリとした感触に戸惑う。
あ、シーツも布団カバーも綺麗になってる。
まさか、仲居さんに替えてもらった!?
うわっ、ナニしてたかモロバレじゃん!?
問い掛けるような視線を向けると
「俺が交換した。中々上手くできてるだろ?」
と、途端にドヤ顔になってる。
凄い。器用なんだ。
良かった。あんなドロドロシーツ、他人に見せたくはない。
こくこくと頷くと、満さんは嬉しそうに、にぱーっと笑ってる。
かわいい。
ナデナデしたい。
そぉーっと腕を伸ばして頭を撫でた。
「満さん、イイコイイコ。」
きゅ、と眉根を寄せた満さんが呟く。
「檸檬…反則技使うなよ…」
「反則技?」
「俺を煽るな。歯止めが効かなくなって襲っても知らないぞ。」
「うっ、それは困ります!もう無理ですっ!」
やっぱりな、と残念そうに口をへの字にした満さんがおかしくって、くすくす笑うと、じとりと睨まれた。
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