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お楽しみ、再び(10)
満さんは、ふぅ、とため息をつくと
「残念だけど、このまま抱いて寝るよ。」
と本当に本当に、気落ちした様子で俺の横に潜り込み、抱きしめてきた。
そんなこと言われても。
満さんの気持ちも凄く分かるけど。
これ以上は本当に無理なんだもん。
熱を孕んだ満さんの身体が密着して、その熱が伝染してくる。
熱を振り払わないと。
心を鬼にして目を閉じた。
満さんは、サワサワと俺の髪を名残惜しそうに撫でている。
そんなことしてもダメだ。
ダメなものはダメ。
俺は満さんを見上げてトドメの一言。
「満さん、お休みなさい。」
「檸檬……ううっ、お休み…」
ふふっ。今夜は俺の勝ちだな。
1日休めば身体も回復するだろう。
そしたら、今夜は……なーんてことを今言えば、満さんはつけ上がる。
手綱を引いたり緩めたりするのもヨメの役目だ。
絶対言ってあげない。
散々待った後のお楽しみの方が嬉しいだろ?
オマケに…実はあの下着をもう1セット用意してある。
特別大感謝祭!新装開店セール大赤字覚悟の大放出!
満さんが狼にならなければいいんだけど。
盛り上がって動けなくなったら運んでもらおう。
俺の気を引こうと「ふうっ」とか「はあっ」とか、これ見よがしにわざとらしくため息をつく満さんの様子がおかしくて、必死で笑いを堪えながら眠りについた。
習慣とは恐ろしいもので、いつもの時間に目が覚めてしまった。
ゆっくりと瞼を開けると、イケメンのドアップが!長い睫毛が息をする度に微かに震えている。
満さん、寝ている時にもカッコ良過ぎて破壊力半端ないよ。
本当にこの人の伴侶として生きていくんだなぁ…俺、ちゃんと釣り合う存在になれるんだろうか。
ちょっとどころか滅茶苦茶自信がない。
俺達の関係について、色々言われてることも知っている。
だから、何を言われても跳ね返せるような自分になりたいと思ってるんだけど。
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