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ご褒美(2)

この愛くるしい俺の伴侶は、あの聡子さんですら味方につけてしまっている。 「満様! 御当主らしく、会社のトップらしく、堂々と粛々と、しっかりなさいませ! 檸檬様の内助の功がなければ、“ただの木偶の坊”に成り下がりますよっ!」 お陰で俺は、益々聡子さんに頭が上がらない。 ははっ。ヨメの尻に敷かれるのも、それもまた良しとするか。 ヨメの手の平で転がされるフリをして、『カカア天下万歳!』と言っている方が家庭円満だと聞くもんな。 静かな寝息を立てて熟睡してしまった檸檬の髪を名残惜しく思いながらそっと撫でる。 愛おしい。ひたすらに愛おしい。 俺の全ては檸檬一色に染まっている。 こんなに優しくてたおやかで思慮深くて聡い伴侶がいるもんか! 俺を心底愛してくれてるしな。 明日は…頼む、俺を構ってくれ。 祈るように檸檬にキスをすると、昂る気持ちを押さえながら眠りについた。 夜が明けたのだろうか、カーテン越しに薄っすらと陽の光が感じられる。 隣で眠っているはずの檸檬が、動く気配がする。 気付かれぬようにそっと薄目を開けると、俺を見つめながら百面相をする檸檬。 さては俺より早く起きて、あれこれ妄想を繰り広げているのだろう。 むふっ、かわいくてならん。 何を想像してるんだろう。 構いたくて我慢の限界がきた。 不意打ちで目を開け声を掛けた。 「どうした?眠れないのか?」 「ひえっ! うっ、ううん!!癖でいつもの時間に目が覚めちゃって…目の前に満さんの顔があったから、見惚れてた…」 「ははっ。カッコ良過ぎて惚れ直したんだろ? まだ早い。もう少しこのままで…」 懐に抱きしめた檸檬の鼓動が早い。 吹き出しそうになるのを必死で堪えているうちに、この温もりに癒されて俺は再び眠りの世界に入っていったのだった。

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