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ご褒美(4)
檸檬は俺の腕の中でじっとしている。
抱きかかえた身体が、熱を持ちじわりと汗ばんできた。
やがて、もぞ、と背伸びをするように顔を上げ、上目遣いで俺を見つめ
「…朝ご飯、食べてから…少しだけなら…」
と言って、また潜り込んだ。
んんっ!?それって、それって…
「れーもぉーーーんっ!!!」
「んぎっ」
抱きしめて下半身を擦り付ける。
檸檬は咄嗟に腰を引いたが、気にせずに抱き寄せる。
浮かれた俺は、布団ごと檸檬を抱え、既に朝食が用意されていた隣の部屋に連れて行った。
檸檬は、あわあわと慌てて何か口走っていたけれど、そんなのは無視だ。
あんなかわいらしいことを言って煽ってくる方が悪い。
俺の膝に乗せて、有無を言わさず食べさせる。
その頃には檸檬は自分が煽ってしまったことに気付いたのか、大人しくされるがままになっていた。
「れもーん、はい、あーん♡」
「…あーん…もぐもぐもぐ…」
朝っぱらからご機嫌な俺とは対照的に、半ば諦めムードの檸檬。
温度差はあるけれど気にしない。
檸檬、男に二言はないぞ。
「うん、美味かったな。お代わりはどうだ?」
「ううん。お腹一杯。ご馳走様でした。
美味しかったです。
あの、満さん…」
「ん、何だ?」
「俺、シャワー浴びてきます。離して。」
「じゃあ、一緒に」
「ダメ。俺ひとりで。」
「ん?どうしてだ?」
「ダメなものはダメです。」
うーん…ここでゴネて、檸檬の機嫌を損ねでもしたら大変だ。
残念だが仕方がない。
「…分かった。風呂場まで連れて行くよ。」
檸檬は黙って頷いた。よしよし。
お楽しみは後程……
檸檬を残し、布団をズルズル引き摺って寝室へ戻った。
後で俺もシャワーを浴びよう。
時計を見ると、まだまだ時間はあった。
ムフムフっ。
あらぬ妄想が脳内に出現してきた。
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