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惚気(2)
「…ということで、14ページ目をお開け下さい。
こちらのグラフには……」
はいはい。これも画面見たら分かるから。すっ飛ばしていいとこだよ。時間が惜しい。
見るも何も、何処が弱いかなんて、自分の部署のこと把握してるだろ!?
他社と比較して何処が違うのか何が劣っているのか、うちのマーケティング力は半端ない情報収集力のはず。
それは共用してるよな?
伸びも数字化したら誰でも理解できるし、前年比のパーセンテージ出せば、あとはどの部門で強化していけばいいか、どう絡んでいくか、みんなで考えれる。
「ご説明中すみません!」
おっ、赤石!
「こちらもデータで出ているのですから…我々がこれから考えねばならないのは…」
おおっ、いいぞ!論破しろ、論破!
赤石の独壇場だ。
流石に元営業のエリート。ツッコミどころ目の付け所が違う。
侃侃諤諤 、新旧の闘いだ。
やれやれー!
そのうちに、赤石に引っ張られていいアイデアも飛び出してくるはずだ。
これがうちの会社の強みだ。
向上していくためには、上も下もない。
言いたいことをぶちまけて、一つずつ潰していく。そして最後には練られたものが出来上がってくる。
今日もまた激論が続く。
アドレナリン放出で、みんながアツくなっていた。
控えめなノックの音がして、一服の清飲料のようなフレッシュな空気を纏って檸檬が入ってきた。
檸檬、ナイスタイミング!
話を折らないように控えめにコーヒーをセットしていく。
まずは俺の所に持って来た。
流れるような優美な姿を目が追ってしまう。
相変わらず綺麗な所作だな。
それに、キュッと引き締まったヒップ!そうだ、こういうのをプリケツって言うのか!
両手でこう持ち上げて、するっと摩って、むにむにと揉みしだいて…
「…社長…」
檸檬が密やかに俺を呼ぶ。
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