256 / 371
惚気(5)
俺が開いたのは、遥さんから送ってもらった写真のフォルダ。
「遥さんから、『あるリスト』を送ってもらったんだよ。
あのひと、式を終えた後のハナヨメに、こっそりとプレゼントするんだって。
『ダンナ様がとてもお喜びになるんです』
お前もそうだっただろ?
これって結構、後引いてさ。
無料のプレゼントで、一見経営的にマイナスのように見えて、ファンが増えて注文殺到、後々利益を生む。
他人 も良し、我も良し。
経営者の鑑みたいなひとだよなぁ。
あんな綺麗な顔してやることは滅茶苦茶冷静だ。是非ウチにほしい人材だよ。」
「…その考えを今度の企画に盛り込むように誘導しろ、と仰りたいんですよね?
承知しました。さり気なく次の会議でぶっ込みますよ。
でもねぇ、社長。人事の私が企画会議に参加するって違和感ありませんか?
まぁ、何を言われてもいいんですけど。
はぁ、ソレが顔面崩壊の原因ですか…
その裏は……要するにハマっちゃって、ヨメを愛しちゃって困るぅ、って感じなんですね。ぶふふっ。」
「言わせたい奴には言わせておく。
お灸は据えてやるけどな。
俺は部署も部門も関係なく、あらゆる角度から優秀な人材の意見を聞きたい。それだけだ。
社内会報にもそれは打ち出してある。
何だ、バレたか。
おうよ。俺の檸檬はサイコーだぜ?
俺の誕生日のために、自分で用意してくれてるんだからな。
今度は俺が選ぼうと思ってさ。」
「社長、自分家 だけだなんて、思わない方がいいですよ。」
勝ち誇ったような笑みを浮かべた赤石が携帯を取り出し、画面を操作して俺の前に差し出した。
「チェックが付いているやつは、俺がキープしてますから、それ以外で選んで下さいね。
被ると何だか気不味いんで。」
ともだちにシェアしよう!