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ダンナ達の思惑(2)

実は若林君と俺は、個人的にLINEをする仲だ。 メチャクチャ性格のいいコで、俺達はこうやって何でも相談し合っている。 結婚式を機に接点のあった俺達は『ナイショの方が何かと都合がいいに違いない』と、互いの伴侶に黙ってコッソリと仲良くなったのだ。 ご機嫌な満さんと、携帯を見ながらニヤける赤石部長。 絶対に何かある。 チラチラ見ていると(どうした?)と言いたげな視線が飛んでくる。 思わず、ふるふると首を振って、何でもないですアピールをしておく。 終業――今日も一日無事に終わった… 黒原さんも今日はサッサと片付けをしている。デートかな?ふふっ。 今晩のおかずは何にしようかなー。冷蔵庫に残ってたのは、えーっと…キャベツともやしと… 主婦モードに頭が切り替わる。 そうだ!野菜たっぷりの餃子にしよう! 帰りに足りない物を買って… 「檸檬、さぁ帰るぞー。黒原も上がるぞー。」 「はい!今行きます!黒原さん、俺閉めて行きます。」 「はーい。大丈夫だよ。鍵は閉めて行きますからお先にどうぞ。 檸檬君、明日もよろしくね。」 「では、お言葉に甘えます! こちらこそよろしくお願いいたします。 お先に失礼いたします!」 ひらひらと手を振る黒原さんにお願いして、満さんと部屋を出た。 「満さん、足りない物を買いたいのでスーパーに寄ってほしいです。」 「分かった。で?今夜は何?」 「野菜たっぷりの餃子にします!」 「おっ、いいな。檸檬の作るものは何でも美味いから楽しみだ。」 ポンポンと頭を撫でられて、胸がキュッとする。 こうしてると、いつもと変わらない満さんなんだけど…… 「どうした?俺の顔に何か付いてるのか?」 「えっ!?いいえ!…相変わらずカッコいいな、って…」 (…今夜は寝かさないぞ…) と唇が動いたような気がした。 見てないフリをして、真っ直ぐ前を向いた。

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