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ダンナ達の思惑(4)
「れもぉーん…」
くぅーーん くぅーーん
満さんが、まるで捨てられた子犬のように見えてしまう。
ぴょこり、と満さんの頭にケモミミとお尻に尻尾が現れた!
ぐぬぬっ…撫でたい。もふもふしたい。
いやいや、待て待て。満さんは間違いなく人間だ。そんなモノ、持ってるはずはない!
思わず、ごしごしっ、と目を擦ってみた。
んんんっ!?ケモミミが、ぴるぴる揺れて…消えた。
マジか……絶対にオカシイ。明日眼科に行ってこようか。
「満さん…」
俺の声に、満さんの瞳が期待でキラリと光った。
ええぃっ!
今日の俺はいつもと違うんだっ!
そのかわいい顔に騙されていけない。
俺は満さんのその顔に滅茶苦茶弱いんだ。
でも。
絆されてちょっと甘い顔をすると、途端に豹変して羊が狼に変身するんだから。
…今までそれで、どれだけ騙されてきたか…翌日起き上がれなくなったこと、数知れず……自分の学習能力の無さを反省する。
《れもぉん、ほらほら。満さんをちゃんと構ってあげなよぉ。
きっと今夜も、ムフムフな時間を過ごせるよ。》
“ムフムフ”って何だよ、“ムフムフ”って!
ダメだっ!今夜は絶対ダメっ!
甘く囁くもう1人の俺をぶっ飛ばし、俺は満さんに満面の笑みを向けた。
「満さん、お利口さんで寝ましょうね♪」
「むぅぅぅっ」
身悶えする様が何ともいじらしくておかし過ぎる。
そんなに俺のことを抱きたかったんだろうか?
だってほぼ毎日そんなにイチャコラしてたら、俺の身体が保 たないよ。
満さん、分かってね。
口に出しては言わないけれど、心の中で週末はお相手をしてあげよう、何なら例のアノ下着を着けてもいいかな、と仏心を出していた。
それがあんなことになるとは…
その時の俺は、予想すらしていなかったのだ。
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