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ダンナ達の思惑(8)

マナーモードにした携帯は大人しくなった。 30分後…… 画面を見てぶっ倒れそうになった。 「何だよ、これ…」 ニールからの着信とLINEメッセージが数十件。 お前はストーカーか。 仕方ない、会食が終わって午後から落ち着いた頃に電話するか。 と、そこへノックの音がした。  「社長、赤石部長がお見えです。」 ん?赤石?どうしたんだろう。 「通してくれ。」 「失礼します。お忙しいところ申し訳ありません。」 「外出までにまだ時間があるから大丈夫だ。 どうしたんだ?アレか?」 俺は暗に例の件か、と尋ねた。 「実はアンダーソン社長から直電がありまして。」 「は?ニール?何でお前の所に?」 「前々回の打ち合わせに立ち会った時に名刺交換してまして…多分それを見て掛けてきたのだと思います。 『社長に繋がらないから、君に掛けた』と仰ってましたから。」 軽やかなノックの音と共に、檸檬が「失礼いたします」と、コーヒーを運んできた。 話は一時中断。 檸檬のキュートなお尻を見送って、再開した。 「要件は?何だって?」 「『下着を選びたいんだけど店を紹介して欲しい』とのことでした。 何かお聞きですか?」 俺は天を仰いだ。 不吉な予感。嵐の前の静けさ。 俺は黙って携帯を開き、赤石に渡した。 「失礼いたします。」 両手で受け取った赤石は、最初の画面をガン見した後、何事もなかったかのようにスクロールしていく。 それで全てを察したようだ。 「……ありがとうございました。 仕方ありませんね。来週一緒にお連れしますか。」 「アイツが絡むと面倒なことになるんだ。 できれば連れて行きたくないんだが。」 「ここまできたら、こちらが何かフォローするまでずっとストーカーされますよ。業務に支障をきたします。 どうやら黒原秘書に関しては、とてつもない輩に変身するようですね。 社長、腹を括りましょう。 彼への連絡は私からします。 そうすれば来週まで大人しくなるでしょうから。」 「悪いな、赤石。」 「いえいえ。仕事ですから。」

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