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ダンナ達の思惑(9)
そうして、何事もなく日は過ぎて、待ちに待った水曜日!
檸檬には『赤石と所用で出掛けるから』としか伝えていない。
「食事は済ませてくるから、俺の分は用意しなくてもいいぞ。
帰りは俊樹に頼んであるからな。」
「はい!黒原さんと先に帰ってます。
満さん、お気を付けて。」
あぁ…曇りなき眼 の檸檬…嘘をついている訳ではない、ただ、ただ隠し事をしているだけだ…許せ…
「…行ってきます。檸檬…愛してるよ。」
俊樹の目を盗んで檸檬に軽いキスをする。
あわあわする檸檬を残して駐車場に向かう。
くうっ、かわいい!かわい過ぎるぜ、檸檬。
「社長、お疲れ様です。」
「おっ、赤石!忙しいのに悪いな。」
「いえ、私用も兼ねてますから。
アンダーソン社長は現地集合です。」
「…それだけは気が重い…じゃあ行くか。」
道中、先日の会議のことや、人事のことで盛り上がる。
赤石は相変わらず忙しくしているみたいだが、充実した毎日を送っているようでホッとした。
プライベートでも、俺と同じように心から大切に思う相手と結ばれて、本当に良かったと思っている。
「…割と早く着いたな。
ん?あれはニールの車じゃないか?
ははーん…待ち遠しくて時間より早く来て待ってる、って感じだな。」
「とても楽しみにしてらして、仕事も手につかない程だと仰っていましたよ。
…後で俺達、黒原秘書に殴られなければいいのですが……」
「俺もそれが怖い。絶対に、絶対に、俺達が関わってることをアイツにバレちゃなんねーからな!
…ニールにも約束させとかないと……」
「念書でも書いていただきましょうか?」
「ぶふっ!真顔で言うなよ、赤石。
うわぁ…こっちに気付いた…手、振りまくってる……他人のフリしたい…」
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