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ダンナ達の思惑(10)
「みっつるぅーーっ!赤石くぅーーん!
おーい!こっち、こっち!」
赤石と顔を見合わせため息をつくと、これ以上大声で名前を呼ばれたくなくて車を降りた。
「…ニール、五月蝿い。黙れ。静かにしろ。」
「満…最近、俺の扱い酷くない?
ねぇ、赤石君、酷いよねぇ、ね?ね?」
赤石はそれに答えず肩を震わせている。
「黙れ。お前に関わるとロクなことがないからだ。
今日だって…おい、ニール!絶対に俊樹に俺達のことバレないようにしろよな!
もしバレたら……取引停止だっ!!」
「そんなぁ…赤石君、何とか言ってよぉ!」
「…そろそろ時間ですから行きましょうか。」
バッサリ切りやがったな。
何だか悪友のノリになってるニールを従えて受付に行くと、遥さんが待っていてくれた。
「皆さんようこそ!お待ちしておりました。
これはこれは…3人並ぶと凄い迫力ですね!
イケメンオーラが半端ないですよ。
それぞれに公私共に充実しておられるようで何よりです。
さ、どうぞこちらに!」
遥さんに先導されて倒された部屋には、テーブルにこれでもか、と並べられた下着の数々が……
「おおっー!」
「うわっ…凄い!」
「はぁ…いいですねぇ…」
思わず漏れた俺達の賞賛の声に、遥さんは微笑んでいた。
俺達の前に籠を一つずつ手渡しながら、聖母のように語り掛ける。
「事前にご予約のお品は、こちらにご用意させていただきました。
金山様…赤石様…アンダーソン様…はい、どうぞ。
中をお改め下さい。
もしご希望の物と違っていたり、イメージしていたのと違う…とかありましたら、ご遠慮なく仰って下さいね。
私共で扱ってる物は、色違いはあるのですが、似たようなデザインがあっても、それぞれ一点ずつしか取り寄せしておりません。
ですので、全く同じ物がお相手の持ち物と被る…ということはないと思いますが…
ご相談の上、ということでご検討下さいね。」
遥さんに後光が差している…
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