273 / 371
ダンナ達の思惑(15)
side:檸檬
怪しい。限りなく怪しい。
他人 の空気感を読むことに長けている俺には、すぐに分かった。
大きな紙袋を抱えて(袋の口から、ブルーのリボンがチラリと見えた)帰ってきた満さんは、明らかに挙動不審だった。
オマケにその紙袋は(満さんは隠したつもりだったのだろうけど)、優しい空色と白のストライプで、遥さんのお店のロゴがさり気なく描かれている物。
満さん、幾ら抱えて隠しても、ロゴがばっちり見えてますよっ!!!
俺が見逃す訳がないっ!
若林君から聞いた赤石部長の様子といい、今日2人で出掛けて行ったことといい、やたらとテンションの高い満さんの様子から、嫌な予感が頭を駆け巡った。
まさか。
まさか、“例の”“アノ”コレクションが増えた!?
俺は満さんがお風呂に入っている隙に、急いでクローゼットを開けて、袋の中身を確認した。
「うわぁ……」
絶句。ひたすら絶句。
やっぱり、2人で買いに行ったんだ……
ひえっ!こんなの誰が着るの?俺?もしかしなくてもそうだよね!?
何枚、何セットあるんだ!?
この、リボンのかかった奴って、特別!?
…満さん、こういう趣味だったんだ……ちょっと引くわー……でも、かわいいけど。
ああっ、ヤバい!見つかっちゃう!!
そっと、そっと元通りに片付けて、キッチンに戻った。
心臓がバクバクしてる。
俺に内緒で赤石部長と遥さんの所に行ったなんて。
アノヒト達、一体何考えてるんだ!?
俺は動揺しながらも、ゴソゴソと明日の弁当の準備をしていると、お風呂から上がった満さんがやって来て、バックハグされた。
「檸檬、手伝おうか?」
「大丈夫ですよ、もう終わりますから。」
すこぶるご機嫌だ。
あれ?
キスだけで行っちゃった……いつもだと、ここでイチャイチャが始まって、時にはココで、色々と、あの……コホン。
ううっ、決して期待していた訳ではない。
ともだちにシェアしよう!