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ダンナ達の思惑(18)

それから随分と経ってから、カチャ、と遠慮がちにドアを開ける音がした。 来たっ! 慌てて目を瞑り、静かに大きな息をして寝たフリを決め込んだ。 先に布団に入ったものの、あれこれとあらぬ妄想に苛まれて、寝られやしなかった。 落ち込み方も半端じゃなかった。勝手に俺1人で落ち込んでただけなんだけど。 感情の起伏が激し過ぎてどうにかなってしまいそうなのを必死で立て直し、満さんが来るのを今か今かと待ち焦がれていたのだ。 満さんはそっと俺の横に滑り込んで来ると 「檸檬、お休み。」 とだけ告げ、俺の頭の天辺にキスを落とすと、仰向けになって動かなくなった。 あれ!?…何も仕掛けてこない… 耳を澄ますと、規則正しい寝息が聞こえてきた。 寝ちゃってる……抱きしめてもくれない。 何だか本格的に闇に潜りそうになるのを引き戻し、おずおずと満さんに近寄って、その温もりを感じながら目を閉じた。 そんな俺の様子に、寝たフリを決め込んでいた満さんが密かにほくそ笑んでいたなんて知るよしもなく、胸に湧いたドロドロを抱えて眠れぬ夜を過ごしたのだった。 その頃…赤石家とアンダーソン家でも、似たようなやり取りが行われていたことなんて、全く予想もしていなかった。 俺も、黒原さんも、若林君も…いわゆる『ツンデレ』のケがあるらしい。 黒原さんなんて、突出したツンデレなんだそうだ。 日頃、甘やかされてウザいくらいに構われて、ベタベタのベッタベタに愛されている俺達は、いざそれがなくなると、とてつもない不安に襲われてしまうらしい。 どうやら、それを逆手に取られたみたいだ。 その伏線があったせいで、反動でそれぞれの伴侶への甘えに拍車が掛かり、週末全く動けなくなる程の目に遭おうとは、夢にも思わなかった。 やられた。一本取られた。向こうの方が一枚上手だったのだ。

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