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ダンナ達の思惑(25)
「じゃあね、檸檬君。
色々と迷惑かけてごめん。もう大丈夫だから。
また明日よろしくね。」
「いいえ!もし何かあったらすぐに呼んで下さいね!
お疲れ様でした。明日もよろしくお願いいたします!」
それぞれにエコバッグを片手に、先にエレベーターを降りた黒原さんと別れて、部屋に戻った。
荷物をテーブルに置いて、ソファーに倒れ込むように座った。
「はぁー…何だか忙しない1日だったなぁ…黒原さん、本当に大丈夫なんだろうか…
ゆっくり休んでくれるといいんだけど。
お土産、お義父さん達喜んでくれたのかな…」
思わず漏れたひとり言。
俺もすぐに食べれる物を買えば良かった。
ひとりなら何でも良かったのに。何か作ろうと思ったけど、冷凍チンのパスタでもいいか。
自分のためだけに作るのは、面倒だし張り合いがない。以前は当たり前にできてたことが、満さんと暮らすようになって変わった。
俺の生活には、満さんが不可欠なんだ。
満さんがいないと、それが重くのし掛かってくる。
はぁ……女々しいぞ、檸檬。
気を取り直してキッチンへ向かう。
満さんは本家で用意されてるだろうけど、『帰ってからおにぎりでも』って言ってたから、簡単に作ればいいし。
「いいや、やっぱりレンチンパスタにしよう。」
冷凍庫から“明太子パスタ”を取り出して封を切り、レンジにセットした。
その間におにぎりを握ってラップしておく。
冷蔵庫には漬物があるし、味噌汁も後で作ればいいし。
満さんの夜食は完成だ。
何度もため息をつきつつ、愛想ない食事を終えて片付けを済ませた。
やっぱり昨夜 のこと、引き摺ってるのかなぁ。
なーんてナーバスになりそうなところへ、着信があった。
…聡子さんだ!
「もしもし、檸檬です。」
『檸檬様?聡子です!ご無沙汰しております。』
懐かしい声音が耳に飛び込んできた。
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