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ダンナ達の思惑(26)

懐かしい本家での修行の日々が甦った。 「聡子さん!こちらこそご無沙汰してしまって…お元気でしたか?」 『こちらは相変わらずですよ。 檸檬様もしっかりと満様の手綱を引いておいでのようで…ふふっ、頼もしいですね。 今日は、ご丁寧に私達にまでお心遣いいただきましてありがとうございました。 早速皆でいただきました。 とても美味しゅうございましたよ。 御隠居様も奥様も、とてもお喜びでした。 檸檬様、もうすっかり内助の功を体現なさっておいでですね。』 「いえ、そんな…まだまだです。 自分の至らなさを痛感することばかりで。 黒原さんにも頼ってばかりですし。」 『自信を持って! 私が太鼓判を押してお迎えした檸檬様なんですからね。 今のままの檸檬様でいいんです。 5分程前に、満様はお帰りになりましたよ。 檸檬様も、また本家にもお顔を出して下さいませね。 どうぞお身体にお気を付けて。お待ちしております。』 「ありがとうございます…聡子さんもお身体大切になさって下さい。 皆様にもよろしくお伝え下さい。わざわざお電話ありがとうございました。 では…失礼いたします。」 失礼いたします…と、柔らかな声音が離れて行った。 あぁ、良かった…喜んで貰えたんだ。 聡子さんも相変わらずの声の張りで、毎日元気に動き回っている様が目に浮かんだ。 あの修行の日々は本当に大変だったけれど、今となっては懐かしくて愛おしくて、何物にも変え難い大切な経験。 あれがなければ、今の俺はないんだから。 あの聡子さんに褒められて、沈みかけた気持ちが浮上してきた。 俺って単純だ。 5分前に本家を出たなら… 帰宅する時間を逆算して、満さんを迎える準備を始める。 味噌汁の具は、揚げと豆腐…あとは長ネギを切って、スタンバイOK。

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