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してやったり(10)

何か閃いたらしい俊樹が 「『急ぎの宅配が届くのを忘れてたから、家に戻って受け取って欲しい。 今日はそのままリモートで黒原の指示を受けてくれ。』 って仰れば良いんじゃないですか? 当日配送の可能な…今日が何かの記念日なら花束とかスイーツとか…どうでしょうか?」 「俊樹、冴えてる!流石敏腕秘書!」 「…褒めても何も出ませんが。」 「花とスイーツだ!早速手配を頼む。」 「私に一任でよろしいですか?」 「俊樹セレクトなら間違いない。頼む。」 「承知いたしました、では…」 俊樹はすぐに何処かへ電話をし始めた。 「社長、手配完了です。11時頃ご自宅に届きます。 その時間、檸檬君が本格的に寝込んでいなければ良いのですが。」 「とにかく、俺は外回りだと言って、檸檬を送ってくる!」 「10時から会議なんですけど。」 「少し遅れるが必ず帰ってくるから!」 「…そうですねぇ…社長、私お昼は特上鰻が食べたい気分なんですが。」 「ううっ、分かったっ!それで手を打とう!」 「ついでに今流行りのバームクーヘンも…」 「分かった!何でも奢ってやる!!」 「承知いたしました。では、私は一旦退出します。」 心なしかスキップしているような俊樹の後ろ姿を見送ると、入れ替わりにやはり元気のない檸檬が入って来た。 「社長、お呼びですか?」 「あぁ。忙しさに紛れて忘れていたんだが… 急ぎの宅配が届くから、家に戻って受け取って欲しいんだ。時間は11時頃。 後はそのまま自宅で、リモートで黒原の指示を受けてくれ。 俺も会議までに急用で外出するから、送っていく。 時間がないからすぐに帰る支度をしてくれ。 行くぞ。」 「えっ、あっ、はいっ。」 戸惑う檸檬を引き連れて、自宅へ急行する。 車中での檸檬は、身体が辛いのか、ひと言も喋らない。 ぼんやりと窓の外を見つめているだけだ。

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