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してやったり(12)
社長室に飛び込むと、急いで携帯を取り出した。
あっ、メッセ!?檸檬からだ!
タップする時間も惜しく画面を開くと
『満さん、ありがとうございます!
凄く、凄く綺麗です。』
檸檬にしては至極簡単なお礼の文と、フラワーアレンジとケーキの箱が写った写真が送られてきた。
俺が思っていたのよりゴージャスで品のいいアレンジだった。こういう時の俊樹セレクトは、最高に異彩を放つ。
無事届いたのなら取り敢えず良かった。
とにかく檸檬の声が聞きたくて、電話を掛けるが呼び出し音が鳴るばかり。
どうしたんだろう。
本格的に具合が悪いのかもしれない。ヤバいな……電話に出れないのなら、と返事を打っておく。
「受け取ってくれて良かった。
具合はどうだ?仕事はいいからゆっくり休んでくれ。」
…既読にもならない。これは不味いかもしれん。
乱暴にドアを開けて黒原を呼び付ける。
「黒原っ!」
「はい。」
「檸檬にメッセを送ったけど既読にもならない。
具合が悪くて寝込んでいるかもしれないから、俺は今から早退するぞ!」
「申し訳ありませんがそれはできかねます。」
「何っ!?」
「本日の社長のスケジュールは変更できないものばかりです。
全て社長ご自身で対応していただかないとダメですからね。首に縄付けてでもここにいていただきます。
檸檬君のことは私にお任せ下さい。」
「くうっ…忘れてた……よりによって、何で全部今日なんだよっ!」
「今までのツケですよ。誰を恨むこともできません。
さっさと終わらせてお帰りになれるように、励んで下さい。」
「くそっ…」
俊樹の言う通りだ。檸檬との時間を優先して、後回しにしてきた結果がこれだ。
流石に言い訳できない。
「檸檬のこと、頼んだぞ。」
「はい、承知いたしました。」
俺は観念してとにかく早く帰ろうと、気合を入れた。
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