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してやったり(14)

「何でもない、か…」 何でもないのにこんな豪華なプレゼントする時って… そうだ、誰かのブログで読んだことがある! 《やましいことがある時》 “やましいこと”って何だーっ!? 満さんは、俺に隠し事してるってことか!? 黒原さんも知らない、いや、ツーカーのあの人達のことだ、知ってるに違いない。 俺は美しく咲く花のセロファンに貼られたシールと、ケーキのパッケージを見ながら、あることに気付いた。 この花屋は、黒原さんが特にお気に入りでよく利用するから、店員さんもこちらの無茶振りを結構聞いてくれる。当日の注文でも嫌な顔をせずに対応してくれるのだ。 このケーキは…一昨日だったか、黒原さんと偶々気になるスイーツの話をしていたときに、『俺が気になる店』として話題を振っていた所のやつだ。 ということは… 満さんに頼まれた黒原さんが手配したに違いない。 一体何を隠そうとしているんだろう。 あぁ、考え出したら本当に頭痛がしてきた。 本格的に寝込む前に鎮痛薬を飲み、ザッとシャワーを浴びた。 布団に潜り込むと、段々と眠くなってきた。 とにかく眠ろう。せっかく休みをもらったんだ。荷物の受け取りもしたし、満さんが帰るまでにはまだ時間がある。 ハッ 何故か突然、クローゼットのあの中身のことを思い出してしまった。 あんな大量のアレ…… まさか、アレを俺以外の他の誰かのために買ったんじゃないんだろうか… もう一度見に行こうか、どうしよう。見てどうなるものでもないんだけど。 でも、もう身体に力が入らない。 頭がグルグルする。 “浮気”“捨てられる”“離婚”なんて物騒な言葉ばかり浮かんでは消えていく。 「…もう、嫌だ…」 ぽそりと口にしたら、もう歯止めが効かなくなった。体が弱ってる時には、思考力も停止する。段々と悪い方へ悪い方へと傾いていく。

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