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してやったり(16)

満さんは言葉だけでなく全身で“何言ってるの?”と俺に尋ねている。 「どういう意味?檸檬、やっぱりお前、具合が悪いんだろ。変な夢でも見てたのか?」 「誤魔化さないで!! 突然の理由のないプレゼントって、下心ありありなんだよね……何かやましいことを隠すためのものなんでしょ!? ハッキリ言ってもいいよ…俺、傷ついたりしないから…… 『お前に飽きた』『他に好きな奴ができた』 そう正直に言って!!! それに…クローゼットに隠してある下着…アレ、そのひとのための物なんでしょ!?」 傷付かないなんて言いながら、最後の方は涙声になっていた。 俺、まるで痴話喧嘩中の女の子みたいだ。 そう思ってても、口が止まらなかった。 涙でボヤけて見えたその時の満さんの顔は、一生忘れないと思う。 目を大きく見開き、口がパカっと開いて…マンガにでも描けそうなくらいの間抜け顔(満さん、ゴメンナサイ)だった。 「檸檬…本当に何言ってるのか分からない…… お前、アレ、見ちゃったのか!?」 満さん、まだシラを切るのか…… 「…あの紙袋、遥さんのお店のロゴ入ってたし…隠したってバレバレだよ…今までだったらワクワク感を隠し切れなくて、俺にすぐ着せようとしてたのに…俺宛じゃないから…… …だって、俺は男だし…満さんが満足できないのは分かってるんだ。 …最近凄く素っ気なくて……俺に触れたくないのも…分かるもん。」 沈黙…………… 満さんは暫く間抜け顔が戻らなかった。 その間に頭をフル回転させたのか、俺の両肩を掴み怒鳴った。 「檸檬、俺の目を見ろ! それは違う!勘違いだ!」 大声に吃驚して固まる俺に 「あの下着は全部、檸檬お前専用だ! ちょっとつれなくしたら、週末燃え上がると思ってワザとそうしてただけだ! プレゼントは、お前が元気がないから喜ぶ物をと、俊樹が気を利かせた物だ!!」 え?????

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