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跡取り、見参!(5)
自分で大好きだと言ってキスを仕掛けておいて、やったことに急に恥ずかしくなった俺は
「俺、片付けてきます!」
と言い残し、キッチンへ走っていった。
うっわぁーっ、小っ恥ずかしいーぃ!
頬がポッポと火照ってくるのが分かる。
「檸檬っ!」
その後をドタドタと音を立てて、満さんが追い掛けてきた。
「ふえっ!?」
追い詰められて手首を掴まれ、冷蔵庫を背に縫い止められる。
ドンッ
壁ドンならぬ冷蔵庫ドン。
ひぇっ
端正な顔が至近距離に近付いてくる。
おっ、俺、何かした!?
たっ、確かにさ、『大好きです』って言ってさ、俺からキスをしちゃったけど……
ちゅ…
一度キスされ、顔が離れた。じっと愛おしそうに見つめられて…
そしてまた近付いて…キス…
ちゅ…ちゅ、ちゅっ、ちゅ、ちゅーーーっ
うううっ、しつこい…唇が腫れたらどうしてくれるんだよ!
俺がしたのは、たった1回!1回なのに!!
最初は啄むような優しいキスだったのに、段々と濃厚な大人のキスになってきた。
「むぅっ、んんっ」
手首を動かそうにも、拘束されて冷蔵庫ドンされてるから逃げられない。
散々、唇も口内もべろべろに嬲られて、息も上がってくる。
足の力も抜けて膝がカクッとなったところを抱き止められる。
ズルズルと冷蔵庫に添うように身体が落ちて
床にペタリと座り込んだ。
それでもまだ、満さんの唇は離れない。
俺の息が絶え絶えになった頃…
…やっと満足したのか、満さんがゆっくりと唇を離してくれた。
「檸檬…このままベッドに行こうか…」
ベッド!?
「…ダメ、です。」
「えっ!?この流れで!?」
この流れ、って何ですか?この流れで、って。
俺は大きく深呼吸を繰り返しながら、断固として拒絶した。
「ダ・メ・で・す!!」
「…そんなぁ、檸檬…」
俺は満さんの鼻先をトントンしながら
「片付けがあるんです。」
と、優しく言った。
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