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跡取り、見参!(7)
ゴミの始末は、やっと俺から離れた満さんがしてくれた。
でも、俺の動きを視線が追ってくる。
はぁ…これはお相手をしないとロックが外れない感じのやつだ…
しょげる満さんを一旦放置して、やるべきことを全て済ませた俺は、ソファーでポツンと座る満さんの横に腰掛けた。
そして、満さんの両頬を挟み俺の方へ向けると、真っ直ぐに視線を合わせて言った。
「満さん、お待たせしました。
何度も言いますけど、俺はあなたのたった1人の伴侶です。
俺があなた以外の誰かに思いを寄せることなんてないですから。
…手を握られたのは軽率でした。ごめんなさい。
そんな隙を作らないように、今後俺も気を付けます。」
「檸檬…」
「満さんのヤキモチ、嬉しかったですけどね。
でも、あんな若い子相手に威嚇するなんて…」
「若かろうが年配だろうが関係ない。
とにかく2人っきりにはならないこと。
いいね?」
「はいはい。分かりました。
…満さん、歯磨きまだでしょ?
俺、先に部屋で休んでますから……」
満さんは、すぐにその意味を理解したのか、俺の手をそっと外すと、猛ダッシュで洗面所に走って行った。
その後ろ姿が余りに必死で、俺は笑いを堪えながら寝室へと向かった。
あーぁあ、今夜寝かせてもらえるかなぁ…
一抹の不安が頭をよぎったが、愛されているという確信と喜びに胸が躍っていたのだった。
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