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跡取り、見参!(19)

side:檸檬 「……ってなことで、彼は檸檬君に恋愛感情はないし、俺だけじゃなくてニールも一緒に話をしてくれたから、今後はこういうことはないよ。 本家とも密に連絡を取って躾けていくから… だから、変な心配やら疑心暗鬼になるのは止めてほしい。」 口をへの字に結んだ満さんを前に、黒原さんが事の経緯を説明してくれている。 全く…子供みたいだ。 「…社長、黒原さんの仰る通り、何もないんですから… 俺も、誰彼に隙を見せたりしないように気を付けますから、いい加減に機嫌を直して下さいっ!」 「……次何かあったら…“切る”からのそのつもりで。」 「それは本人が一番良く分かってるよ。 そんなおバカな子じゃないし。 そのつもりもない人間に何を腹立ててるんだ? 嫉妬剥き出しにし過ぎ! 満、いい加減にしろっ!」 あの日、イチャイチャして一旦治っていた満さんのお怒りは、黒原さんからの説明で再び噴火してしまっていた。 不貞腐れる満さんに対して、黒原さんのお説教はそれからも続いていた。 暫くして満さんがボソリと呟いた。 「…狭量な男で悪いな。」 「満さん…」 「俺も言い過ぎた。満、ごめん。」 「檸檬の気持ちを疑ってる訳じゃないんだ… 檸檬がかわい過ぎて、他の誰かに掻っ攫われたら…って思うと…」 「もう!何度言えば分かってもらえるんですか!? 俺は満さんだけのもの! 満さん専用なんですっ! 満さん以外愛せないっ! 俺の心も身体もこんなにしておい…ハッ」 叫んでしまって気が付いた…黒原さんがいたんだ…口をつぐんでチラリと黒原さんを見ると、口元を押さえ肩が震えている。 やらかした。 上目遣いで満さんを見ると、さっきまでの不機嫌さはどこへやら。 目尻が下がって口角が上がり、俺をじっと見つめている。 何か…満さんからピンク色の何かが出てるような気がする…

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