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取越し苦労(16)

それからお義母さんに揶揄われながらアイスを食べ終えた俺は身の置き場がなくて、さっさと寝室に退散した。 間もなくやってきた満さんは悪びれた風もなく、俺を抱きしめる。 「満さんっ!もう、お義母さんのいる前でっ!」 俺の抗議の声も虚しく、満さんはそんなこともお構いなしで、俺を身動きできないくらいにぎゅうぎゅうに腕の中に閉じ込めた。 「かわい過ぎる檸檬のせいだ。」 「俺!?俺が悪いの!?」 「うん。『かわい過ぎる刑』発動!」 訳の分からないことを口走りながら、ベッドの上でのし掛かってきた。 うっ…重っ… 「…満さん…重い…」 「あっ、ゴメンゴメン!…これでいい?」 「…くっつき過ぎ。」 「これは?」 「…まだ。」 「じゃあ、これは?」 「…もう少し…」 15㎝位離れただろうか。 それでもガンガンにパーソナルスペース内だ。 「もっと離れて。」 「やだ。檸檬とくっ付きたい。」 「お義母さんがいるから…離れて下さい。」 「…何もしないから。」 「……本当に?」 「何、その間は…本当だってぇ。 信じてよ、檸檬っ!」 「……………」 「れぇーもぉーーん!」 甘えん坊の駄々っ子だ。 明日も早い。無視してくるんと背中を向けた。 「お休みなさい。」 絶句した満さんは、渋々俺と15㎝の距離をとった。 「はぁ」とか、「ふぅ」とか、満さんがわざとらしくため息をつく度に、首筋に当たる。 擽ったいし、ゾクゾクする。 これ…ワザとやってる。 付かず離れずのこの距離は、意外とキツい。 俺は、満さんに気付かれないように徐々にベッドのへり側に移動した。 「檸檬っ!」 「うわっ!何!?吃驚するじゃないですかっ!」 「…何で離れてくの?」 「満さんがため息をつく度に当たって擽ったいだけです。 満さんも反対向いて。背中合わせにして下さい。」 俺がそう言うと、満さんは、うぐっ、と変な声を出し、泣きそうな顔をした。。

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