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取越し苦労(37)

「お義母さん、何を買って来られたんですか?」 見るからにケーキの入っていそうな箱の蓋をパカっと開けたお義母さんは、嬉しそうに言った。 「ふふっ、見て見て!美味しそうでしょ?」 覗き込むと、大きな苺がのったショートケーキと、濃厚そうなチョコレートケーキ、そして色とりどりのフルーツがのったカラフルなフルーツケーキが入っていた。 「うわぁ…美味しそうっ!」 「…別腹のもの買ってきたんだな。」 「そうよ!檸檬君甘い物好きかな、って。」 「俺はオマケか…で?そっちは何?」 「あなた達のお弁当のおかずにいいかしら、と思って。 冷蔵庫に入れとけば明日のお昼までならもつでしょ?」 紙袋には、唐揚げや春巻き、エビチリなんかが入っていた。 「やったぁー!お義母さん、助かります。ありがとうございます! 明日のお弁当に入れさせてもらいますね。」 「じゃあ、これは冷蔵庫に… あっ、檸檬君!トンカツっ! 美味しそう!ね、食べてもいい? 私、お腹ぺこぺこなの。」 「ふふっ、お義母さん、トンカツは逃げませんよ。 さ、どうぞこちらに。」 お義母さんに椅子を勧め、ご飯とスープを準備する。 3人分が揃ったところで「いただきます」と… お義母さんがひと口頬張った…… 「んむむむっ、おいしーーーっ!!! サックサクでジュワーーッとジューシーで、最高っ! 檸檬君、お店出しなさいよ。 私、ホール担当してあげるわ!」 「お義母さん、オーバーですよ。 聡子さん達に鍛えていただきましたからね。 喜んでいただけたなら嬉しいです。」 「あら、本当よ。お店のよりも美味しいんですもの。 満、あなたこんな料理上手なおヨメさんなんて最高ね。 大事にしないとバチが当たるわよ。」 「言われなくても大事にしてますよ。」 褒められ過ぎて…照れる…

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