365 / 371
取越し苦労(37)
「お義母さん、何を買って来られたんですか?」
見るからにケーキの入っていそうな箱の蓋をパカっと開けたお義母さんは、嬉しそうに言った。
「ふふっ、見て見て!美味しそうでしょ?」
覗き込むと、大きな苺がのったショートケーキと、濃厚そうなチョコレートケーキ、そして色とりどりのフルーツがのったカラフルなフルーツケーキが入っていた。
「うわぁ…美味しそうっ!」
「…別腹のもの買ってきたんだな。」
「そうよ!檸檬君甘い物好きかな、って。」
「俺はオマケか…で?そっちは何?」
「あなた達のお弁当のおかずにいいかしら、と思って。
冷蔵庫に入れとけば明日のお昼までならもつでしょ?」
紙袋には、唐揚げや春巻き、エビチリなんかが入っていた。
「やったぁー!お義母さん、助かります。ありがとうございます!
明日のお弁当に入れさせてもらいますね。」
「じゃあ、これは冷蔵庫に…
あっ、檸檬君!トンカツっ!
美味しそう!ね、食べてもいい?
私、お腹ぺこぺこなの。」
「ふふっ、お義母さん、トンカツは逃げませんよ。
さ、どうぞこちらに。」
お義母さんに椅子を勧め、ご飯とスープを準備する。
3人分が揃ったところで「いただきます」と…
お義母さんがひと口頬張った……
「んむむむっ、おいしーーーっ!!!
サックサクでジュワーーッとジューシーで、最高っ!
檸檬君、お店出しなさいよ。
私、ホール担当してあげるわ!」
「お義母さん、オーバーですよ。
聡子さん達に鍛えていただきましたからね。
喜んでいただけたなら嬉しいです。」
「あら、本当よ。お店のよりも美味しいんですもの。
満、あなたこんな料理上手なおヨメさんなんて最高ね。
大事にしないとバチが当たるわよ。」
「言われなくても大事にしてますよ。」
褒められ過ぎて…照れる…
ともだちにシェアしよう!