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取越し苦労(41)
それからの俺達は――
ゆっくりと、そして思う存分にたっぷりと愛し合った。
最後には、俺の中に入ったまま満さんが中々出ていってくれなくて(その時にはスキンをつけていたのだけれど)、喋る度に振動が伝わって…その…感じ過ぎて困ってしまった。
無意識なのか、ワザとなのか。
ワザとじゃないと…信じている。
心底嬉しそうな満さんの顔を見ていると、無下にはできない。
だって…満さんの喜ぶ顔は、俺の幸せだから。
でも…ちょっと、何だか…
「あの…満さん……お願いが…」
「うん?どうしたんだ?」
「あの…俺の、中、から…出てほしい、です…」
「むうっ!?」
「だって!喋る度にその…振動が…あっ…」
満さんはやっと察してくれて、名残惜しそうにゆっくりと出て行ってくれた。
「はあっ…俺は物凄く心地良かったんだけどな…」
「俺は…ちょっと…困りました…」
「ふふっ、そうか?
檸檬、できればもう1回俺の相手を」
「いえっ、無理ですっ!
もう、今夜は…勘弁して下さいっ…明日起きれなくなるから…」
「そっ、そうか……残念だが仕方がないな…
檸檬、一緒にシャワーを…」
「あの…別々でいいですか?」
頬を膨らませた満さんは拗ねた子供みたいだ。
ぷくっと膨れた頬にキスをして
「今度、時間のある時に…」
と囁くと途端にご機嫌が直って、先に俺を風呂場に連れて行ってくれた。
熱い飛沫を浴びながら、身体中を清めていく。
はぁ…今日も慌ただしい1日だった。
脳裏に、少しやつれたお義父さんの姿が浮かんだけれど、とにかく無事で良かった。
色んな最悪な結果は、全て取越し苦労に終わったんだ。
気怠さと、身体の奥に残っている熱は、今夜暫く続くだろう。
後から布団に潜り込んできた満さんに再び抱きしめられ、オヤスミナサイのキスをして目を瞑り、ときめく気持ちを落ち着かせながら眠りについたのだった。
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