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久我の憂鬱
「永野ー」
昼休み、俺は永野のクラスに永野を迎えに来た。
永野はガラの悪そうな奴等と後ろの席に溜まって、楽しそうに話している。俺には気付いて無い様子。
くそ、なんだこの疎外感。
「永野!飯!」
「…久我。分かった」
大声で永野を呼べばようやく永野は俺に気付き、机の上から飛び降りるとダルそうに歩きながら俺の所に来た。
そして永野はチラッと俺を見上げる。
「飯、どこで食べるの」
「いつもの所で良いよな?」
「そう」
166センチしか無い永野は、俺と会話する時は必ず見上げて来る。
クールな永野はいつも無表情だけど、この時は小動物みたいで可愛い。
これを本人に言えば俺は殺されるけど。
俺達はいつも空き教室で昼飯を食べている。そして弁当は俺が用意してる。
いつも菓子パンばっか食べる永野に、だから背が伸びないんじゃねぇのと言ったら半殺しにされた。
その日から、俺が永野の分まで弁当を作る羽目になったのだ。
「永野、ピーマン避けんな」
「…いらない」
「せっかく作ったのに」
「自分で食べれば」
こ、コイツ!!
俺は自棄になってピーマンの肉詰めを全部口に突っ込んだ。
永野は俺の膝上にどっかりと座り、ちまちまと卵焼きを食べている。
端から見たら恋人同士の様に見えるかもしれないが、そんな事はあり得ない。
永野は俺をペットとしか思っていないだろう。 つまり俺の一方的な片想いだ。
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