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ドM達の些細な仕返し
「なぁ、俺ってドMじゃねぇよな?」
「知らねぇよ」
「ドMの神崎にしか相談出来ねぇんだよ」
さっきから久我が鬱陶しい。ずっと俺に縋り付いて来てこんな調子だ。
「神崎ってケツ叩かれて感じるか?」
「はぁ?知らねぇよ」
「藍堂ケツは叩かねぇの?」
「藍堂は叩くってレベルじゃねぇよ」
「そ、そうか。良くそれで勃起出来るな」
「うっせぇ」
否定は出来ないが改めて言われるとムカつくな。
久我が何に悩んでいるのか良く分からないが、とにかく自分がドMだって事を認めたくないって事か。
「いっそ藍堂に殴って貰えば?」
「絶対嫌だ!アイツ本気で殴って来るんだろ?!」
「まぁ、手加減なんて言葉アイツには無いからな」
「想像しただけでも萎える!」
久我は顔面を蒼白させ、俺をまるで人形の様に思い切り抱き締めて来る。
「ぐぇ、苦しい!」
「あ、もしかして感じたか」
「ふざけんな、何でもかんでも感じる訳じゃねぇよ」
「へぇ、そうなのか」
いまだに俺を抱き締めている久我を離そうと胸を押すがびくともしない。
藍堂よりさらに背が高く体格の良い久我はまるで俺には壁だ。
みんな永野くらいのサイズだったら良いのに。
「久我、いい加減離れろ」
「俺を見捨てるのか!」
「めんどいお前」
更にぐりぐりと顔を押し付けて来る久我に、俺はただ体力を削られるだけだ。
俺は諦めて久我の好きな様にさせるしかない。
「俺は永野をあんあん鳴かせたいのに、何故か俺が喘がされてるんだよ」
「あー、それは分かる。藍堂絶対喘がねぇし」
「藍堂が喘ぐとか想像出来ねぇな」
「一瞬喘いだ事はあるけどな」
「可愛かったか?」
「可愛かった」
あの冷酷女王様みたいな藍堂の喘いだ姿は、意外にも可愛らしかった。ぶん殴られたけど。
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