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「出た藍堂!」
「お前一人か」
「黙れ久我。永野達は後から来る」
「何で俺だけ!」
藍堂の言葉に久我は間抜けな声を上げる。不憫な奴だな久我。
藍堂はズカズカと教室に入って来て、ソファーに腰を下ろして足を組む。
「ドM同士で何してたんだ?」
「俺もうドM決定?!」
「ドMだろうが」
「違うわ!…多分」
「んだそれ」
曖昧な久我に藍堂は呆れた表情を浮かべる。
ちょうど藍堂が来たんだし、久我が本当にドMなのかどうか調べてみるか。
「藍堂、ちょっと久我の事蹴ってみて」
「あぁ」
「ちょ、何で!藍堂も何あっさり了承してんだよ!!」
すでに蹴る気満々の藍堂に、顔面を真っ青にして慌てる久我。
「こっちに来い久我」
「い、嫌だ!」
「素直に従った方が良いと思うぞ」
「っ…、何で俺が…」
渋る久我を軽く促すと、久我は泣きそうな顔をしながら渋々と、ソファーに踏ん反り返る藍堂の足元に座り込んだ。
この世の終わりみたいな顔をした久我が面白い。
俺はともかく、普通の奴からすれば理不尽な話しだよな。これでもし久我が感じて勃起したら、俺は爆笑する自信がある。
「良い面してるな久我」
「っひ、やめ…」
藍堂が足を伸ばし爪先で久我の顎を持ち上げると、久我は目をぎゅっと閉じて硬直している。
よほど藍堂が怖いらしい。
藍堂はそんな久我の怯えた表情を見て、心底楽しそうにニヤニヤしていた。
正真正銘の下衆野郎だな。
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