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久我の苦悩
「あの、私…久我くんの事が好きです!」
「えっと、ごめん。他に好きな人いるから」
「それって、誰ですか?」
もちろん、永野です!!
なんて言えるはずもなく、適当に他校の子と誤魔化しすと、女子生徒は走り去って行ってしまった。
俺は緊張から変な汗をかき、はぁっと溜息を吐く。告白を断るのは気持ちのいい物じゃ無いな。告白されたのはこれで二回目ぐらいだけど。
榊原と比べたら、本当天と地くらいの差だ。なんか悲しくなってきた。
「久我」
「ん?あ、永野!」
すると少し離れた所に永野が立っていた。もしかして見られてた!?
「久我ってモテるんだね」
「いやいや偶々だって」
「そうなの?」
「そうだよ、だって俺だぞ?」
「そうだね」
いやいや、それもそれでどうなの!?あんまり興味無さげな永野。俺が告白されたってどうでも良いんだな。永野が俺に無関心なのは前からだ。
「他校の子って?」
「え?」
「好きな人」
珍しく永野が俺に興味を持ってる。ジッと見上げて来る永野に、俺は嬉しさから感極まってニヤけそうだ。
「いやいや、あれは嘘だよ」
「そうなんだ」
「俺は、永野以外に興味ねぇよ」
流れで永野を口説いてみる。永野は無表情ながら、パチパチと瞬きをしながら俺を見る。
あー永野可愛い。マジこんな可愛い生き物他に居ないってくらい可愛い。こんなに可愛い永野が側に居るんだ。他の女子なんて目に入らない。
俺は永野の顎を掴み、目一杯身を屈めて顔を近付けた。
「何してるの」
「ぶっ!いや、流れでいけるかなーと」
案の定、キスは永野に顔面を抑えられて出来なかった。今の俺ならイケると思ったんだけどな。
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