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「まぁ、久我のウザい位のアピールに気付かない永野もどーかと思うけどな」
「永野の悪口はゆるさん」
「確かに、永野は鈍感過ぎだよな」
「神崎まで!」
「久我も、そう思だろ」
「それは…永野は鈍感な所が可愛いんだよ!!」
「「…末期だな」」
まさしくそうなんだろうけど、俺はどんな永野も好きなんだよ。
「アピールしても無駄なんだし、逆に引いてみれば良いんじゃねぇか?ベタだけど」
「あー、それな。永野はそんぐらい単純な事でも効果ありそうだな」
「軽く永野の事馬鹿にしてるよな?」
でも成る程。押してダメなら引いてみろってやつか。これなら俺でも出来そうだな。
「よし、俺それやってやる!」
「「おー、頑張れ」」
二人の心ない応援を受け取り、俺は一人燃えていた。待ってろ永野!絶対に落としてやる!
****
なんて意気込んだものの。
押してダメなら引く。引くって事は、今までみたいに永野にくっ付いてちゃ駄目って事だよな?
なんて拷問だ!
昼休み、いつものくせで永野を迎えに来たが、これではいつもと同じだ。ここは、耐えるんだ。
「悪い永野、今日は…一緒に昼食えない!」
「…?分かった」
「え」
必死に嘘を絞り出した俺とは反対に、永野は少し不思議そうに首を傾げたものの、あっさりと頷いた。
永野さん。せめて理由を聞いてくれても良いんじゃないんでしょうか?
なんて思いも虚しく、永野はさっさとクラスメイト達の所へ行ってしまった。
…永野がこんなにも俺に興味が無いとは。死のうかな。
「ただいま…」
「すでに限界そうだな、お前」
「久我、死ぬの?」
こいつら、他人事だと思って!!
でも本当、このまま永野を避けるなんて出来るのか俺。
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