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いつも永野に弁当を作っていたがその必要も無くなり、俺は購買で昼飯を買っていた。
永野、ちゃんと飯食ってんのかな。もしかしたらあのクラスメイトの奴らに餌付けされてるかも。
永野にご飯をたべさせるのは、俺の役割みたいなもんだったのにな。
なんとも言えない悲しみに溺れながらパンを買っていると、前方で同じくパンを買っている永野を見付けた。
永野、餌付けされてなかった!けどそんな栄養無い物食べて!あぁ、弁当作ってやりたい!!
「…久我」
「はっ!な、永野…」
思わず永野をガン見していたら、バッチリと目が合ってしまった。
どうすれば良いのか分からず混乱する俺を他所に、永野が近づいて来た。
「ど、どーした?」
「…別に」
何故かじーっと俺を見上げてくる永野。久々にこんな間近で見た永野に、俺は思わず抱きつきそうな勢いだ。
何週間永野に触れてないと思ってるんだ。いつも以上に永野が可愛く見える。
「き、今日もクラスのやつらと飯?」
「…そうだけど」
「へー、仲良いんだな」
明らかに不自然な俺。永野も怪訝そうに俺を見てる。
どんどんあいつらと仲良くなって、次第に俺らじゃなくてあっちのグループに入っちゃったりして。
「じ、じゃあ、そいつら待ってるだろーし、またな」
「…あ、くが…」
もしそうなったらと想像しただけでも辛過ぎて、俺は泣きそうなのを堪え永野に背を向けた。
もう本当、何やってんだろ俺。
どうしようもなく自己嫌悪に襲われ、俺は頭をガシガシと掻く。
すると、後ろがざわついているのが聞こえた。「だ、大丈夫ですか」と生徒の困った様な声も。
何だと思い振り向いた。そして思わず手にしたパンをポトリと落とした。
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