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藍堂と神崎の災難

「なー、お前らってやっぱ付き合ってんの?」 「「は?」」 またその話題かよ。 急に俺と藍堂に話し掛けて来た、いかにもな派手な格好をしたやつ。にやにやとムカつく顔をしながら、俺等に絡んで来る。 「んな訳ねぇだろ、こんなチビ」 「俺だって、藍堂なんかと付き合いたくねぇよ面倒くさい」 「えーマジ?そんな仲良いのに?」 断固拒否する俺と藍堂に対してまだ疑って来る男。 確かに今、椅子に座る俺の上に藍堂が踏ん反り返っているが、仲が良い訳ではない。藍堂は俺を椅子だとしか思って無いし、俺も重くてしんどい。 てか、あまりしつこいと藍堂がキレるから止めてくれ。 「まー良いけどさ。藍堂って綺麗な顔してるし、神崎は可愛いだろ?だから、俺等の間でちょっと話題なんだよねー」 「は、神崎が可愛いだ?目腐ってんのかよ」 「お前は否定しないのかよ」 「は?俺は綺麗に決まってんだろ」 当然の様に言う藍堂に、呆れるどころか流石女王様だなと感心してしまう。 というか、俺が可愛いって言うのには俺も聞き捨てならない。嬉しくもなんともないし、男にそんな事言われても気色悪いだけだ。 そして、俺等って誰だよ。まさか、この前藍堂に絡んで俺が被害に遭った奴らじゃ無いよな。 「他校のダチも二人に会いたいっぽいんだよ。んでさ、今日そいつらと集まるんだけど来ない?てか来て!」 手を合わせて頼まれるが、行く訳が無い。どうせろくな事が無いし、妙に嫌な予感がする。 藍堂だって、面倒くさいって言うだろう。 「食いもん奢るし、酒もいっぱい用意しとくよ!」 「ふーん、じゃあ行く」 「は、ちょ、藍堂?!」 「よっしゃ!ダチにも連絡しとくな!」 まさかの藍堂はあっさりと了承してしまい、俺は面を食らう。 どういう風の吹き回しだ。本当、藍堂の考えてる事が分からない。 何も無ければ良いけど、この胸騒ぎは何なんだ。

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