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「じゃあ、何でこんな開けてんだ?」
「…っ、触るな」
「ピアスが趣味なのー?」
「…別に」
そんなの言える訳無いだろ。痛いのが好きで開けてるなんて。
誤魔化す様に目を逸らすと、不意に目に入った光景に俺は固まる。
そこには、酔っているのか顔を赤くしぼんやりとした様子の藍堂に、にやにやとした男達が群がり服を脱がしているのが目に入った。
「あいつら、何して…」
「おー、もう始めてんのか」
「いいねいいねー、んじゃ、俺等もやっちゃう?」
「だな」
これはもしかして、ヤバイやつじゃないか。
俺は本能でそれを察知し、逃げようと立ち上がるが、簡単にそれを遮られた。
ショウゴが俺を後ろから抱え込んで来て、目の前にはグラスを持ちニヤッと笑みを浮かべるケイ。
「おい、今更逃げようとしてんのか?のこのこついて来たくせに」
「まだこれからじゃん?楽しもうよー」
「離せっ」
ジタバタと抵抗するが、圧倒的なショウゴとの体格差に身動きも取れない。
すると、手に持っていたグラスを口に付けるケイ。そして酒を口に含むと、飲み込む訳でもなく、そのまま顔を近付けて来た。
まさかと察した時には、ケイの唇が押し付けられていた。不意打ちを食らった俺は口を開けてしまっていて、そのまま口内に酒が流し込まれてしまう。
「んん!」
「んー」
「お前らがくっ付いてるとアレだな、百合」
ショウゴは意味の分からない事を言いながらもがっしりと俺を掴んでいて、しかも鼻を摘んできた。
そのせいで俺は口で息をするしか無く、強制的に酒を飲まされる。
アルコールが苦手な俺は、一口だけで喉が焼ける様に熱い。それなのに、ケイは一旦口を離すとまた酒を口に含み、再び俺に飲ませてくる。
「ん、ふっ」
「ん、いっぱい飲めよー」
「もう顔赤くなってる。本当酒弱いんだな」
しばらくそれを続けさせられ、何口飲まされたか分からなくなった頃には、俺は完全に酔いが回ってしまっていた。
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