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第10話
目が覚める。また真っ暗。
「奏多兄ー?居る…?」
声を掛けてみる。返事はない。あたりを見渡しても真っ暗。
一瞬。ほんの一瞬だけ白い何かが僕の前を横切った。その何かの方を向くけど
暗闇が広がってるだけ。
「茜…」
「か、奏多兄!!」
姿は見えないけど…今日はちゃんと聞き取れる!
「今日…会社……行かない方がいい…」
「え?どうして?」
「いいから。行かない方がいい。もし行くなら単独行動は絶対にするな。短距離であっても」
「奏多兄?な、なにかあるの?教えて?」
「ごめん。言ってあげたいんだけど言えないんだ。ごめん。」
「…わ、分かった。1人にならなければ良いんだよね!」
「うん。で一緒に居る人はこの前1番に付き合ってるのがバレたあの先輩か彼氏にして。」
「分かった…!その他の人はダメなんだね!」
「うん。分かってくれて良かった…あ、そろそろ時間だよ。目覚めないと。」
「またね。奏多兄。」
「うん。またな。茜。」
目が覚める。まーくんはまだ眠ってる。起きたら話さなきゃね…
「さて!朝ご飯作らないと…」
まーくんを起こさないようそっと布団から出て、キッチンへ向かって、朝ご飯を作る。
「ん…あーくん…おはよ…」
「あ!まーくんおはよう!!」
「なんか…さ…」
「どうしたの?」
「なんか…胸騒ぎがするんだけど…」
「え?あ、そういえばね?また夢に奏多兄が出て来てね?今日、僕に何かあるから誰かと一緒に行動してって。それもまーくんか、先輩にしてって言われたんだけど…」
「そうなの…?今日は…あいつ懲らしめるのはいいや。あーくんと一緒に居る。」
「ほ、本当?」
「うん。なんかあったら守ってあげるよ。」
「ありがとう。まーくん…!好き。」
自分から抱きしめるって初めてかも…?嫌って言われないよね…?
「あーくん、絶対顔上げないで。」
「なんで?」
「赤いから…見られたくないし…///」
僕はすぐに顔を上げる。
「わ…!真っ赤…僕もこんな感じなんだ…!赤いまーくんもかっこいい。」
「そ、そりゃどーも…笑」
「もうちょっと…このままでいい?」
「いいよ。」
今日はちょっと怖いから…今日だけ…甘えさせてね!
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