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弟と旅行編 7 お外です。

 ――れも、健人しゃんには怒ったり、拗ねたりしれらひゃら。  そう弟クンに言われてどのくらい嬉しかったかわかる? 「な、何? 健人?」  俺は「そう?」なんて涼しげに答えたけど、でも、内心、ものすごぉぉく嬉しくてたまらなかったなんて、知らないだろ? 「健人?」  食事を終えて部屋に戻るなりベッドに押し倒された郁登は、このまま雪崩れ込むようにセックスすると予測していたんだろう。押し倒しただけでそれ以上のことはせずに、じっと見つめる俺に戸惑って、伺うように覗き込んでいる。少し怪訝な、少し不思議な顔。少しだけ、不安に揺らいだ眼差し。 「……兄の顔をした郁登」 「?」  怒った顔も拗ねた顔も、笑った顔以外の郁登をたくさん見て来たけれど。 「お兄ちゃんな郁登も見られてよかったんだけど」 「……ン、んっ」  覗き込むようにこっちを見上げていた郁登に深く口付けた。唇を重ねて舌を差し込んで、食事の時に飲んだ日本酒で火照った舌に絡み付いて、くちゅりと唇の合わせ目から濡れた音を立たせる。  キスに呼吸が乱れてもやめてあげずに、もっと深くまで舌を入れて、唾液が溢れるくらいに食べるようなキスを重ねる。  蕩けるくらいに、びしょ濡れになるくらいに濃厚で激しいキスを。 「……ぁっ……健人?」 「やっぱり、俺と一緒の時の郁登が一番良いよ」 「? 何?」 「さっき、泳ぎ疲れて寝ちゃっただろ? 風呂も入ってない」  こんな極上の部屋で最高の景色の中で露天風呂を満喫できるのに、もったいないだろ? ベッドの寝心地の良さはさっき昼寝で堪能したから、今度は温泉を堪能しよう。 「うわっ、ちょっ、待っ」  ベッドに押し倒した郁登を今度は抱え上げた、ひょいと持ち上げると、なんでこういう時だけ体育教師の俺より力持ちなんだって小さな苦情が聞こえてきたけれど、そんなの無視したまま、郁登を抱えて露天へと向かう。窓を開けると一気に波の音がした。真っ暗で、隣の部屋との境目には竹でできた柵と、それから大きな木がある。その木々の隙間から淡くオレンジ色をしたほのかな灯りと月灯りが差し込んでいた。 「えっ! 嘘、ここで?」 「そ」 「うわぁっ、そ、それはまずいって、ほらっ」 「いいじゃん」  お湯、天然の温泉なんだってさ。それにこの絶景、星が見事に濃紺の夜空に散らばって、三日月がまるで絵画のように水面の反射してゆらゆら揺れている、なんてさ。こんな絶景も堪能しないともったいないだろ。 「郁登が声を我慢すれば大丈夫」  でも、郁登のことも抱きたいんだ  欲張りだから。愛しい恋人の表情なら怒った顔でもなんでも知りたくなり欲張りだから。温泉も絶景も、それにセックスもしたいなぁって。 「んなっ! 待っ」 「さっき遠泳疲れの郁登を襲わず我慢したからもう我慢しない」 「だって、あっ」  浴衣って便利だなぁと俺の人生でこんなに日本様式に感謝したことはないかもしれない。抱え上げたまま、スルリと帯を解いてみせた。 「っ」  ハラリと石畳の上に広がった和柄の浴衣。 「勃ってる……」 「っ」  そして、抱えたままでもわかるくらいに反応した郁登が可愛くて、ちょうど口元にあった郁登の脇腹にキスを一つした。一番平らな石の上に腰をおろす時も抱えたまま、郁登を逃がすことなく俺に背中を預けさせ、膝の上に乗せる。 「や、だっ、これ恥ずかしいっ」 「小さい子みたい?」 「やっ、言うなっ」 「けど、やらしい沁みが下着にできてる」 「あっ」  抱き締めながら、不埒な指先で胸をまさぐれば、乳首がツンと尖がっていた。もう摘んで可愛がって欲しいと期待に粒を膨らませて、指で捏ね回されるのを待っている。 「はぁっ……ン」 「シー……」  やらしくて可愛い乳首で気持ちよくなりたそうに甘い声をあげたところで、そっと耳元で教えてあげた。 「聞こえちゃうけど? 隣に」  素敵でかっこいいお兄ちゃんの甘い甘い喘ぎ声。 「んっ」 「腰、浮かせて?」 「んんっ」  なんだかものすごくいけないことをしてる気分に蕩けそうだ。背後から子どもみたいに抱きかかえた恋人の下着を脱がせて、そのまま外と大差変わりのない露天風呂でカウパーを零すペニスと、愛撫の勃起した乳首を同時に可愛がってあげた。掌でぎゅっと握って、人差し指でカウパーを掻き混ぜるように鈴口を刺激して、ツンツンと尖って感じている乳首はきゅっと摘まんでから、その先端だけを爪で引っ掻いてあげる。 「ン、んっ、んんんっ」 「気持ちイイ?」 「ンっ」 「こっちもいじって欲しい?」  触れたのは小さな孔。あえてたどたどしい薬指で浅いところだけを入って出て入って出て、悪戯じみた挿入を繰り返す。 「指、欲しい?」 「ン、して、健人っ」  ほのかな灯りに照らされた小麦色の肌、背中にキスをする度にピクンと反応する肩にキスをしながら、欲しがりな孔に指を挿れた。俺の背中に身を預けたまま、本当に小さな子どもみたいに、脚を広げてる。身体が柔らかいからこそできる体勢。俺がいないと倒れてしまいそうなほどに寄りかかって、やらしい身体をくねらせてる。 「あっ……ン、んんんっ」  指を中で折り曲げると、思わず声になって零れた快感に郁登が慌てて、指を咥え込んでいた孔をきゅっと締め付けた。 「シー、だってば」  あえて子どもを諭すように耳元で囁いても、孔がきゅっと指を締め付ける。 「ぁっンっ早くっ健人っ」 「まだ、ダメでしょ」  あんまり煽らないで欲しいだけど。こっちは痛いくらいなんだから。 「あ、あ、あっ、指っ、ン、ぁっ」 「ダメ、まだ二本だよ」 「あ、ンっ……」 「まだ指なのにそんなに締め付けないでって」  だって、そう震える声が抗議をした。身悶えながら、小麦色に健康的な脚をはしたなく淫らに開いて、きっと、しなやかな腹筋をくねらせて、下腹部が疼く身体をもてあましてる。 「っ、ン、んっ」 「やらしすぎ……」  早く早くと急いた気持ちに引っ張られて、郁登がいつも以上に大胆に自分の身体を柔くほぐした。二本、俺の指と、もう一本、自分の指をそこに捻じ込んで。やらしすぎて、ホント、もう限界だ。 「あっン」 「声、抑えてて」  体勢をずらして、今度は郁登が俺の膝に手を付いて、こっち側に尻を突き出すようにさせる。柔らかい月明かりと赤い灯りに小ぶりな尻が照らされて、背中のラインに影ができて、喉が鳴るほど妖艶だった。 「きつかったら腰上げて」 「ン……」 「い、よ……郁登」 「ぁ、あぁぁっ」  一瞬零れた郁登の感嘆の声と、一瞬で快感に落っこちるくらいの挿入感に俺の理性が吹き飛ぶ。 「ンんんんっ」  月明かりの中、昼間、健康的に泳いでいた男が、男の腰に跨って、その小さな孔にペニスをあてがって、尻の間にずぶずぶと。 「んんんんっ」  突き刺して、揺れて、咥え込んで。 「ぁ、健人っ」  気持ち良さそうに、愛しそうに。 「ン、んっ」  俺の名前を呼ぶなんて。 「あ、健人っ、声」  どうしようか、これ。 「ン、んんんっ」  たまらなく興奮する。まるで青姦じみたセックスに、ひどく興奮して、少し怖いくらい。ホント、どうしようね。こんなのクセになったら。  でも、興奮しないわけがないんだ。 「ン、んっ、ン、ん」  この男のこんな痴態は俺しか知らないんだから。 「ぁ、健人、イクっから、声っ」  懇願されて口を掌で押さえながら、腰を揺らす郁登の背中にキスをした。歯を立てて、舐めて。腰を振りたくる郁登の胸に手を伸ばす。 「んんんっ」  大好きな乳首をきつく摘まれながら、腰を揺らして、濡れたセックスの音はかけ流しの水音と波の音に混ざって。 「ぁ、あ、あ、っんんんんんんんっ」  きゅぅんって切なげに締め付けられた瞬間、俺も郁登の中で達してた。

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