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第2話 姉の恋人

 正人は忍よりも三つ年上で、一流企業に勤めるエリートだ。  初めて正人と出会ったのは、本当にたまたまだった。姉が正人との約束の時間を勘違いして、家に迎えに来たのだ。  男と寝た後だった忍は朝帰りで、玄関先にいた正人とバッタリと会ってしまい、気まずかった。でも、初めて正人を見た時、今まで感じた事がない電流が流れた。こんなにもカッコいい男がこの世にいるなんてと思ったほどだ。  初めて、この男に抱かれたいと自分から思った。でも、目の前の男は姉の恋人。そんな事言えるわけがない。  聞けば、来年には入籍するらしい。失恋決定な忍は、その足でまた違う男を探し、誘って来た人間とホテルへと直行したのだった。  正人との繋がりはもうないと思っていた。恋人の弟。ただ、そんな程度だと思っていた。けれど、正人は面倒見の良い男らしく、忍の事も気に掛けてくれた。  時には二人でご飯を食べに行き、買い物をしたりもした。デートみたいな事をした事がない忍は戸惑い、正人の優しさや気遣いに更に正人に惹かれて行く自分が怖かった。 「なぁ、忍……。いや、なんでもない……」 「?」  二人で買い物をするようになってから、そんなやり取りをするようになったのはつい最近の事。  正人は何かを忍に言おうとしているのだが、その先を言わない。  そして、ある事件が起きた。  姉が姿を消したのだ。

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