7 / 9
第6話 臆病なココロ
こんなにも自分の心臓が大きく鳴るなんて知らなかった。ドキドキじゃない。ドクンッドクンッだ。
「ンッ……ハァ……正人……」
正人は器用に忍の服を全て脱がせると、下肢を左右に開き、その奥を舐め始めた。
「風呂……お風呂入らせて……っ」
しばらくベッドにいた忍は、その間風呂に入る事をしなかった。シャワーでさえ浴びてはいない。だから、そんな事をして来る正人の頭を掴み、離そうとした。けれど、それを正人が許さない。
「駄目。俺が無理……」
「え……?」
「堪んない」
「!」
正人はいつもとは違う顔を忍に向ける。その目はギラつき、獲物は絶対に離さないと言っているようだった。
「忍の匂い腰に来る……」
「ウウッ!」
そんな事を言ってから、正人は忍のペ◯スを口に含み、ズズッと吸った。
「はう……」
その吸引力に忍の腰が浮く。気持ちが良い。こんな風にされた事、一度もない。
「ま…さとぉ……」
忍は腰を揺らし、正人の愛撫を受け続けた。身体は熱く、熱があるように火照る。でも、心は満たされていくのが分かった。
「忍、ローションあるか?」
「……らない」
イク寸前で止められて、口を離した正人が忍にそう聞いてきた。
忍は荒い息を整えながら頭を横に振り、いらないと告げる。
「いらない……痛くていい……」
血が出ても、裂けても、そこを一生使えなくなったとしても、痛みがある方が今の忍には良かった。
あの、初めて味わった時のような痛みを、正人の物で体感したかったのだ。
「ゴムもいらないっ……俺病気にはなってないから……」
「忍……」
「本当だよ。あの後、正人に告白された後……検査しに行ったんだ……」
これでもし、病気に感染していたら忍はここには(この世)いなかったかもしれない。
正人の事を想い、死を選んだと思う。
「正人に告白されて…俺……今までしてきた事が怖くなって……浅はかだったって気付いたんだ……」
検査の結果が陰性だと知り、まだ望みはあると思った。でも、正人に好きだとは言えなかった。
人を好きになるって、こんなにも怖い事なんだと知らなかった忍は、正人に自分の想いを告げる勇気がなかった。
「お願い……正人のちょうだい……」
忍は脱力した手を動かし、正人の猛った雄をズボン越しに触れた。そして、そう要求した。
ともだちにシェアしよう!