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第6話 臆病なココロ

 こんなにも自分の心臓が大きく鳴るなんて知らなかった。ドキドキじゃない。ドクンッドクンッだ。 「ンッ……ハァ……正人……」  正人は器用に忍の服を全て脱がせると、下肢を左右に開き、その奥を舐め始めた。 「風呂……お風呂入らせて……っ」  しばらくベッドにいた忍は、その間風呂に入る事をしなかった。シャワーでさえ浴びてはいない。だから、そんな事をして来る正人の頭を掴み、離そうとした。けれど、それを正人が許さない。 「駄目。俺が無理……」 「え……?」 「堪んない」 「!」  正人はいつもとは違う顔を忍に向ける。その目はギラつき、獲物は絶対に離さないと言っているようだった。 「忍の匂い腰に来る……」 「ウウッ!」  そんな事を言ってから、正人は忍のペ◯スを口に含み、ズズッと吸った。 「はう……」  その吸引力に忍の腰が浮く。気持ちが良い。こんな風にされた事、一度もない。 「ま…さとぉ……」  忍は腰を揺らし、正人の愛撫を受け続けた。身体は熱く、熱があるように火照る。でも、心は満たされていくのが分かった。 「忍、ローションあるか?」 「……らない」  イク寸前で止められて、口を離した正人が忍にそう聞いてきた。  忍は荒い息を整えながら頭を横に振り、いらないと告げる。 「いらない……痛くていい……」  血が出ても、裂けても、そこを一生使えなくなったとしても、痛みがある方が今の忍には良かった。  あの、初めて味わった時のような痛みを、正人の物で体感したかったのだ。 「ゴムもいらないっ……俺病気にはなってないから……」 「忍……」 「本当だよ。あの後、正人に告白された後……検査しに行ったんだ……」  これでもし、病気に感染していたら忍はここには(この世)いなかったかもしれない。  正人の事を想い、死を選んだと思う。 「正人に告白されて…俺……今までしてきた事が怖くなって……浅はかだったって気付いたんだ……」  検査の結果が陰性だと知り、まだ望みはあると思った。でも、正人に好きだとは言えなかった。  人を好きになるって、こんなにも怖い事なんだと知らなかった忍は、正人に自分の想いを告げる勇気がなかった。 「お願い……正人のちょうだい……」  忍は脱力した手を動かし、正人の猛った雄をズボン越しに触れた。そして、そう要求した。

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