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第1話 ④

 アパートは、玄関を上がってすぐにセパレートのトイレと浴室があり、廊下を進むとキッチンの付いた少し広めのワンルームという、大学生にしては少し贅沢なくらいの部屋だった。  リビングの真ん中にどさっとバックパックを置く。  今日はとりあえず新しいベッドカバーやタオルなど、生活に最低限必要な物の買い出しに行く予定だった。もちろん、予算はかなり低いので賢く揃えなければならないが。  ん?  ふと、視線を感じた。下見の時と同じ視線だった。  確かに、この部屋にはこの世の者ではない何かが存在していることは分かるのだが、まだ正体がいまいち掴めなかった。  たいていの場合、幽霊たちは何かを訴えるためにこの世に残っていることが多いので、こちらが望まなくとも気づいてくださいアピールが凄いのだが、この部屋にいるであろう者はうまく存在を隠しているような気がした。  なぜそんなことをするのかよく分からなかったが、出てこないならこないで圭介にはなんの支障もないので放っておく。  財布と携帯、それとこの部屋の鍵だけを持って早速買い物に出かけた。

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