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第2話 ⑦★

 ゆっくりと舌が口内に入ってきた。普通の人間と違うところは。樹の舌には体温が感じられないことだった。冷たい、異物が入ってくるような感覚。もちろん唾液もない。  それでも樹のキスはうまかった。時間をかけて歯裏をなぞられ、舌を強弱付けて絡まれる。圭介の唾液でキスが生々しい音を立て始めると、段々と圭介の頭がぼうっとしてきた。自分の中の何かが唇を伝って樹へと流れる感覚がする。  それは、圭介の生気が樹へと流れていることを示していた。  樹によると、生気を人からいただくにはいくつか方法があるらしい。手っ取り早いのはキスで、直接吸い上げることができるから楽らしい。ただし、この方法で人に生気を解放させるには快感を伴わなければならないため、いかに相手を気持ちよくさせるかがポイントらしいのだが、キスだと快感にも限界があるらしく、そこからいただける生気の量はそれほど多くないそうだ。  やはり、一番は挿入により繋がって、相手がイく瞬間に放つ生気を吸い取ることらしい。  一度に多量に摂取できるらしいのだが、そこまで相手との関係を持っていくのにも、自分が努力して気持ちよくさせないといけないのにも労力を伴うので(無理やりもできるが、快感が少ないため量と質が落ちる)、相手が自分好みであるとかの理由がない限り進んでしたいとは思わないのだという。

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