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第2話 ⑧
そう説明を受けた時、圭介がふと思った疑問。
じゃあ、俺は?
樹にとって、圭介とはどんな位置づけなのだろう。
たまたまこの部屋を借りたのが圭介で。どうやら圭介は好みのタイプではあったらしい。
最初にセックスするとはっきり宣言されたのもあり、圭介は早々に自分の貞操を全て奪われるかと思ってビクビクしていたのだが。3ヶ月経った今でもされるのはキスと愛撫だけ。圭介の尻はまだ未開発のまま、もちろん挿れられたこともない。
それは何を意味するのか。圭介を選んでみたものの、体がいまいちだったのか。労力を使うほど圭介との関係を深くするのが面倒なだけなのか。
まあ、別にそれはそれでノンケの圭介にとっては、男と関係を持つことを避けられるのでよしとするところなのだが。
こうしてほぼ毎日のように迫られて愛撫を受けていると、なんとなく複雑な気分になったりするのだ。
そうまるで。ただセフレだったのに、本当のところ相手がどう思っているのか気になって情が移り始めたような。
そこまで考えてはっとする。
いやいや。相手、男だし。幽霊だし。
「集中してる?」
その声で我に返った。
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