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第2話 ⑩★

 樹が水中に顔を入れた。圭介の片方の乳首を咥えて、舌で転がし始めた。空いている方の乳首は左手の指先で転がされる。 「は……あ……」  腰辺りがうずうずする。圭介が微かに腰を動かしたのを見逃さないとでもいうように、樹の右手が圭介のモノをぐっと掴んだ。そのまま扱き始める。 「あっ、あっ、はあっ……」  体の中の熱が一気に上がる。水のなめらかな感覚が更に快感を煽る。3点を同時に責められて、圭介は思わず腰を浮かせようとした。 「気持ちいい?」 「あっ……んっ……俺、ちょ……も……」 「もうイきそう?」 「ん……今日……きもちい……」 「イっていいよ」  そう言って、樹が右手の動きを早めた。そのまま水中から顔を出して、圭介の唇に唇を重ねてきた。 「んっ、んっ、んっ、んんっ!!」  体中に快感が駆け巡った。水中で自分の欲が勢いよく出される感覚に腰が震えた。唇越しに樹へと自分の一部が一気に押し出された。ちゅうっ、と樹が軽く音を立てて圭介の唇を吸った。そのままゆっくりと離れていく。 「早かったな」 「ん……」  ぼうっとした頭で答える。イった後は、いつもこんな感じだった。興奮が冷めていくのと比例して、体に疲労感がどっと出る。 「あーあ。今日は圭介に手でやってもらおうと思ってたのに」 「ごめん……。今日はもう無理だわ……。なんか……すっげぇ、疲れた……」 「いいよ、別に。そん代わり、今日は大量にもらったし、生気」 「いっぱい出た?」 「出た出た。すげぇ感じてたしな」 「……そんなことない」 「気持ちいいって言ってたじゃん」 「…………」 「ま、とりあえず、もう出たら? のぼせるぜ」 「ん……」  もうすでにのぼせ気味のぼうっとした状態で湯船から上がった。その後のことはあまりよく覚えていない。  樹に迫られた後は、疲労感が半端なかった。生気をだいぶ取られるのだからそれはそうなのだが、バイトで疲れていたりするともうほとんど気力は残っていなかった。  この日もぼうっとしたまま、歯を磨き、ルームウェアに着替えてベッドに直行した。そして、ベッドに横になって数秒も経たない内に意識は遠のいていった。  これが、圭介の日常だった。

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