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第3話 ④
翌朝。肌寒さにぶるっと身震いして目が覚めた。ふと自分の体を見ると、きちんと布団が掛けられていた。なんで真夏なのにこんなに涼しいのだろう?と起きたばかりの頭でぼうっと考える。
その答えは簡単なことだった。
「あれ??」
そう。エアコンのクーラーがガンガンにかかっていたのだった。圭介は急いで起き上がると、すぐにエアコンの電源を切った。
あいつ。
「あ、圭介、起きた?」
台所から半透明の樹が現れた。有体化した手にはトーストとハムエッグが乗った皿を持っている。
「おい。お前、勝手にクーラー点けただろ??」
「点けたけど」
「いつ点けたんだよ?」
「圭介が寝てから」
「勝手に点けんなよ! 折角節約してたのに!」
「だって、圭介死にそうだったじゃん、昨日」
「暑いのなんか我慢すればいいんだし、電気代勿体ないだろ??」
「……いや、ほんとに死にそうだったから」
しごく真面目な顔で言われて、圭介は思わず言葉に詰まった。
「……何言ってんの?」
「だから。死にそうだったから、圭介が」
「……真面目に言ってる?」
「そうだけど」
「……俺、どういう状態だったの?」
「脱水状態で熱中症の症状起こしてた」
「……で、そっから俺はどうやってここまで回復したんだろうか」
「ああ、亜紀が看病してた」
「亜紀さん?」
「あいつ、看護婦だったから」
「そうなんだ……」
樹の話によると、自称20歳の亜紀さんは死亡当時、本当は20云々歳だったらしく、看護婦としてバリバリ働いていたらしい。しかもかなり優秀な看護婦だったようだ。若くして現場のグループリーダーを務めてかなり重宝された存在だったそうだ。
その亜紀が一晩中、圭介の看病をしてくれたらしい。全く覚えてないが、圭介に水分補給してくれたり、体を冷やしてくれたりしたらしかった。このまま暑い中ほっとかれたらかなり危なかったようだ。
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