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第4話 ③

 それから1ヶ月経ち、秋も深まって涼しい日が増えてきた。  そのころには、アプリ総収入は1千万を軽く越えており、圭介はようやく働き詰めの毎日から解放されることとなった。もちろん、貯蓄を贅沢に使うつもりはないし(自分の力で貯めたものでもないし)、自分の娯楽に使うものはあくまで自分のお金でありたかったので、居酒屋のバイトだけは日数は減ったが続けるようにしていた。  そんなわけで、週末はまるまる時間が空くようになったし、平日も週1、2日はのんびり過ごせる夜もできた。  そうなると、大学の友達付き合いも増えていき、色んなイベントや遊びに誘われるようにもなった。  沢田由奈と出会ったのは、突然増えた友達との付き合いの中、みんなでカラオケに行った時だった。  合わせて20人ぐらいのグループで、居酒屋で呑んでからカラオケに向かったのだが、カラオケで隣同士になるまで圭介は由奈の存在に気づいていなかった。 「一ノ瀬くん、何か呑む?」  自分の名前を覚えてくれていたことにまず驚いた。 「俺のこと、知ってるの?」 「うん。同じ学科だし。講義、結構一緒だから」 「そうだったっけ……。ごめん、俺、バイトが忙しかったから全然周り見てなくて……」 「知ってる。荻くんから聞いた。奨学金で通ってるから生活費も大変だって」 「ああ、そうなんだ」  ちらっと、斜め前に座る荻へと視線を送る。隣の女の子と話が盛り上がっているようだ。そのお調子者キャラの荻が視線に気づいてこちらを向いた。ニヤっと意味深な笑いを投げかけてきた。  全く。荻の奴。一体どこで誰に自分のことを話しまくっているのだろう。

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