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第4話 ⑤

「圭介くん。今日さ、講義終わったら映画行かない?」  大学の学食で一緒に昼食を食べていると、由奈が誘ってきた。 「いいよ」 「やった。見たい映画あったんだ」  そう言って、由奈が携帯でその映画の情報を見せてきた。 「ホラー?」 「うん」 「由奈ってホラー好きだったんだ」 「かなり好物」 「そっか。じゃあ、見よ、それ」 「圭介くんってホラー平気なんだね。男子って結構、苦手な人も多いのに」 「まあ……」  なんせ、リアルな奴らを嫌というほど見ているので、圭介にとってホラーなんてのは全くの作り物にしか見えないのだった。  由奈とは付き合い始めてもうそろそろ1ヶ月になるかならないかだった。お互い1人暮らしなので、門限に縛られることもないし気ままにデートなどを重ねていたが、まだお互いの部屋などに行ったことはない。  というか。圭介の部屋には絶対に呼びたくはなかった。野次馬がわんさかといるからだ。それに。なぜか樹と由奈を引き合わせることにも抵抗があった。  そんな気持ちがあったので、樹にはまた由奈の存在を明かしてはいなかった。大学の付き合いが増えたことは伝えてあった。樹からすれば圭介からの生気補充が滞ることなければそこは特に問題ないはずだし、文句もないはずだった。

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