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第4話 ⑥

 大学の講義を終えて、由奈と一緒に電車で映画館のあるショッピングセンターへと向かった。上演時間までかなりあったので、由奈の買い物に付き合って、カフェで休憩してから映画館へと入る。  公開してからかなり経っていたせいか、人はまばらだった。一番後ろの真ん中に座る。  映画は最初から予想どおりの展開で、出てくる不気味な物体は圭介にとっては子供だましにしか見えなかった。  由奈はというと。ホラーが好きな割には、要所要所で体をびくつかせ、途中からは圭介の腕にしがみついてくるくらいの怯えようだった。  こうして女の子と過ごすと、やっぱり女の子は可愛いな、と思う。 「圭介くんって、こういう感じの子が好みなんだ~」  突然、由奈とは反対側の耳元で誰かに囁かれ、圭介はそれにホラーの何倍も驚いて体をびくつかせた。  亜紀さん!  いつの間にか、隣に亜紀が座っていた。いつもの美人な笑顔で暗闇の中こちらを見ている。由奈がいるので話しかけることができない。目だけで何してんの??と訴える。 「圭介くんが女の子と歩いてたから張り切って付いてきちゃった」  と悪戯っ子のような表情で亜紀が言った。ちなみに、幽霊の声は見える人か、もしくは幽霊側が意識して聞かせようとしなければ霊感のない人間には聞こえない。  それから亜紀は、圭介越しにじろじろと遠慮なく由奈を見た。由奈は相変わらず圭介の腕にしがみついたままスクリーンに集中している。 「ふ~ん。小柄な可愛らしい感じの子だね。でも……」  でも?  その続きを待って亜紀の方を見るが、亜紀はそれ以上何も言わず意味深な笑みを浮かべてふっと消えた。 えー??何??  その後、映画が終わるまで亜紀の続きの言葉が気になって全く映画に集中できなかった。

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