46 / 132

第4話 ⑦

「怖かった~」 「そうだね」  映画館を出て、夕飯を一緒にしようと、由奈のリクエストでショッピングセンター内にあるイタリアンの店へと移動した。お手軽な値段でピザとパスタ、前菜やデザートなどが食べ放題という学生には有り難い人気の店だった。席が空くのを待って、ようやく案内された時にはほどよく腹が減っていた。  映画の話をしながら様々な種類のピザやパスタを堪能した。由奈は、もう食べられない~、と言いつつも、ちゃっかりデザートまで平らげていた。  店を出て外へと出ると、12月初めの街はイルミネーションでキラキラと輝いていた。駅への道をぶらぶらと手を繋ぎながら歩いていると、ふと、由奈が口を開いた。 「ねえ……」 「ん?」 「……良かったら……圭介くんの家、行きたいな」 「……俺の家?」 「うん、ダメ?」 「……ダメじゃないんだけど……」  そこで、圭介はどう説明しようか迷う。正直に、幽霊の同居人がいて~とはやっぱり言えないし。 「今、めちゃめちゃ散らかってて……」 「……そう」 「うん……ごめん」 「……あのさ、じゃあ、家来る?」 「え??」 「圭介くんが良かったらだけど……」  そう言って、由奈が若干上目使いで圭介を見てきた。その意味は、もちろん圭介だって分かっている。  なぜか。そこでちらっと樹の顔が浮かんだ。しかし、即座にいやいやと頭の中で消す。  なぜ樹に遠慮しなくてはならないのか。正式に付き合っているのは由奈なわけだし。樹との関係はあくまで『奉仕』なわけで。  そう自分に言い聞かせてから、由奈を真っ直ぐ見て笑顔で答えた。 「じゃあ、お邪魔させてもらおうかな」

ともだちにシェアしよう!